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「金が欲しいんだよ…」



涼太には涼太の葛藤があった。



彼の実父も
幼い頃に家を出ていた。

子供ながらに母親を守って生きて行こうと
心に誓っていた涼太。

突然現れた新しい父親を受け入れることが出来ず
養われている事を苦痛に思い

自分で稼ごうと働き始めたクラブで
年齢を偽っていた事がばれた結果が、これ。


「ダセーよ、お前」


剛典のその言葉に涼太は拳を振り上げ

その拳は宙を彷徨い脱力した。









その日から私は涼太と連絡を取り合っていて

お互い一人っ子の私たちは
今では本当の姉弟のように付き合っている。



“涼太君は何も悪くない”

そう言ってのけた母の潔さには
ただただ感服するだけだった。









あれから八年。



大手企業に就職した涼太は
“学費の返済だ!”と言いながら
毎月実家にお金を送っている。


「はい、A。誕生日おめでとう」
「えっ?誕生日、来月だよ?」
「うん。でも、来月じゃ意味ないから」


“開けて見て?”



綺麗にラッピングされた箱を手にした時

何となく予想がついたその中身。




「うそっ!!これっ!!!」



南と話していた発売前の限定コフレ。



「取引先にツテがあってさ。
 発売後じゃ、意味ないでしょ?」

「ありがとう涼太!」

「どういたしまして。
 その代わり、今度剛典さんと飲むときは
 俺も誘えよ?」

「どんだけ剛典が好きなのよ」

「ほんとAって男見る目ないよなー」





知ってるよ。




涼太が剛典に感謝してるって事も

剛典の言葉で涼太が真っ直ぐ生きてるって事も。





「じゃ、またな」
「うん。気をつけて帰ってね」



走り出した涼太の車。

嬉しさを伝えたくて
飛び跳ねならが両手を振って見送っていたら

ハザードランプで返事をしてくれた。









「A?」

「あ、広臣」


呼ばれて振り返れば
ラフな格好の広臣がコンビニの袋を下げていた。




「その服、なんか新鮮だね」
「Aのメガネも、なんかヤラシイな?」
「なにそれっ」



早くコフレを試したくて
エレベーターを待つ時間ももどかしかった。



「どっか、行って来たんだ?」
「うん、デート!」
「え?デート?」
「ほら、これっ」



コフレが入った紙袋を広臣に見せびらかした所で

帰ってくる反応は予想通り。



疑問符だらけのその顔は職場で見せる顔とは真逆で

ちょっとだけ笑えるその顔を

広臣に群がる女性社員たちに見せてやりたいくらいだった。

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設定タグ:三代目 , 登坂広臣 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» ありがとうございます^^ライブは、このお話の030での登坂さん風に“ご想像で”です(#^.^#) (2020年1月27日 16時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さんのストーリー大好きです三代目perfectyearライブは観に行く予定はありますか?私は京セラ観に行きたいけど倍率凄く高いですね(´;ω;`) (2020年1月27日 12時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» 楽しんで頂ければ幸いです^^ (2020年1月26日 19時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 三代目メンバーのストーリー大好きです(*ゝω・*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - shireyさん» ありがとうございます(^^♪ (2020年1月26日 13時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月18日 10時

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