Third！元暗殺者はボーダーに

６４時間目 違和感の正体 ページ10

根付「今回起きた戦闘の規模は、４年半前の第一次ネイバー侵攻のおよそ八倍です。１２００人以上の死者と４００人以上の行方不明者を出した、あの第一次侵攻の八倍のネイバーが攻め込んできたのです」

少しだけ身を乗り出すと、根付さんは更に続けた

根付「かつての八倍以上の敵を相手にして被害は４０分の１。最高の結果ではありませんでしたが…我々のこれまでが結実した、想定以上の大きな成果だと考えています」

「…それは、戦闘の規模が大きかったら、４０人程度は誤差の範囲ということでしょうか。行方不明の３２人の中に私の知り合いの息子さんがいるんですが、その親御さんにも同じことが言えますか？」

その言葉に続くように、他のマスコミ達も口々に反論を始める

遊真「なんか、ボーダーが悪いみたいに言われてるな」

唐沢「辛いことは誰かの所為にしたくなるのさ」

遊真「ボーダーがいなかったら何百倍も死んでるだろ」

唐沢「お互いそれは分かってるよ。だからボーダー側には余裕があるし、マスコミ側はイラついてる」

そんな会話を他所に、根付さんは再び話し始めた

根付「行方不明になった３２人の訓練生は、ネイバー迫る戦線のすぐ近くで避難誘導の任に当たっていました。危険を顧みずに最後まで前線に残った彼等の働きが、死者ゼロという結果に繋がったのです。彼等の存在を軽視するなどありえない。彼等の犠牲があったからこそ、市民を守ることができたのです」

「その犠牲をなくすことはできなかったんですか？ボーダーには緊急脱出用のトリガーがあると聞いています。何故それを訓練生にも装備させないんですか？」

そのマスコミの言葉に、鬼怒田さんがキレて反論する

鬼怒田「トリガーの数が足らんからに決まっとろう！全員に付けられるもんなら付けとるわい！緊急脱出のトリガーを一つ作るのにも、金と材料と人の手が要る！湯水の如く湧いて出るとでも思っとるのか？！少しは考えて質問しろ！」

そのマスコミが押し黙ると、今度は別のマスコミが手を挙げた
それを見て、根付さんが少しニヤリと笑う

なんや…少し違和感が…？

「今回、訓練生ばかりが狙われたということは『訓練生は緊急脱出ができない』とネイバー側に知られていたということでしょうか？」

根付「訓練生は基地の中でしかトリガーの使用を許されていません。なので、ネイバー側にトリガーの情報が漏れることは…」

「…先月の上旬、市立第三中学校にネイバーが現れた事件がありましたよね」

…っ！違和感の正体はこれか！

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