16話 [お前を射止める心の矢] ページ29
某日、富士山の麓にある日本宿舎は慌ただしく動いていた。
朝、有人が起きた頃には何故かAが居なかったのだ。そしてまた起きて何処かに出た形跡も無く、靴も無くなってはいなかった。
[靴を履かずに外に出たか、トイレに籠ってるかの二択だな…。]
マネージャーにはトイレを、他の奴等には宿舎を探してもらった。
外を探しに行くのは俺だけだ。会場に走って向かって間に合うのは俺ぐらいだからだ。
それに、俺にはあてがあった。Aは絶対にあそこに居るという確証が。
[Aさんよぉ〜試合の日だぞ〜ん]
それは、明日人と光が二人で来ていたはずの山だった。
まだ2人は来ていないみたいだけど、それはどうでもよくて。
[A、居るなら黙って聞いてほしい。俺が思っている全部の事だ。
俺がお前に思っている事とか、そんな感じの事だ。]
俺は居るかどうかも分からない山の一角で、静かに叫んだ。
俺がサッカーをやった事が無い事。前世のAが可愛がってくれた捨て猫の生まれ変わりの姿だという事。
そして、俺がAの事が…恋愛的な意味で好きだという事。
俺が頑張って言葉を紡ぎ終わると、Aが木々の隙間から出て来た。
少しばかり悲しそうに、俺の顔を見ながら。
[A……]
嫌気が差すほどの強風が、俺たちの間を吹き抜けていった。
きっと、AはAなりの決意があって、俺にしか分からない場所に来て文字通り2人きりで話す事を誘導したのだ。
『生まれ変わりの迷える子猫、私に忌まわしの名前を付けた子猫。
私に何を言いに来たの？』
聖母のような微笑みに絶望を称えたような安らかな声で俺に問う。
Aにつけた苗字は、Aが俺の母親に付けた名前だった。
[…Aとサッカーがしたい。優勝したい。だから俺はお前を誘いに来た。]
『…普通、ここは円堂守だろぉ…ばぁか』
少しだけ嬉しそうな顔で、それでいて寂しそうに笑って、俺の手を取る。
『会場まで、行こうか。ばか男です』
何か少しばかり吹っ切れたように笑って走り出した。
俺もそっと頷き一緒に走り出す。
『[てっぺん取るぞ！！]』
きっと俺達なら、この先も歩んで行ける。
俺達が世界一の2人組と謡われるのはまだ少し先の話だ。
17話 『不！神！』[カップリングみたいに言うな（気に入らない）]→←閑話 『私以外私じゃないの。私の変わりは居るのにね』
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霧雨煙雨 - 彌さん» 高校生は16歳なので間違ってないですよ〜 (2021年4月12日 11時) (
レス) id: 7dded9b4e1 (このIDを非表示/違反報告)
彌 - 2月4日で15の中３っておかしくないですか？それだと普通高１じゃないですかね。 (2021年3月24日 21時) (レス) id: 8a8dc3fa13 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨煙雨 - 麗奈さん» みょん人気ですね〜(ニコニコ (2020年1月1日 2時) (レス) id: 27059f82fd (このIDを非表示/違反報告)
麗奈 - 合ってましたか！私の東方の推しキャラは妖夢とサリエルです。 (2019年8月23日 22時) (レス) id: 91fcdb8923 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨煙雨 - 麗奈さん» ご存知なんですか!?(歓喜 (2019年8月22日 4時) (レス) id: 0c2f3902a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霧雨煙雨 x他1人 | 作成日時：2019年3月23日 23時
