もう少し早く気付けば ページ28
side.ab
昼休憩が終わり、俺はみんなよりも少しだけ早く食堂を出てICUへと向かっている。今、俺が受け持っている患者さんで、人工呼吸器を付けている人がいるのだ。俺はその人の様子を見に行っている。それにしても……。
(久し振りに楽しい昼休憩が過ごせたな……)
誰かと話して、LINEまで交換して……友達だって言ってくれた。
「……」
俺はLINEを開いて、無意識に佐久間先生のアイコンを開く。
「……」
ニヤける。顔が緩んでいるのが自分でも分かる。何度もLINEを開いては、彼のアイコンをタップするのを繰り返していた。
「……」
ふと、側から見て気持ち悪いのを感じて顔を真顔にする。今は業務に戻る前だから、気を引き締めないと……。
『大丈夫……ですか？』
彼と初めて出会った日のことを思い出す。いよいよ身体的にも精神的にも来てしまって、廊下の壁に体を預けて蹲ってる時に、佐久間先生が声をかけてくれた。
「……」
でも、彼はそのことを覚えていなかった。そりゃ、佐久間先生は優しいから、しんどそうな人みんなに声をかけてるのかもしれないけどさ……本当は彼と初めて会った時の記憶に相違があったことがとても悲しかった。
「……まあ、仕方ないけど」
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あずぴ(プロフ) - 初めまして。とても面白くて一気に読んでしまいました。文も凄く読みやすくて尊敬致します。これからも続き楽しみにしています。 (2021年8月26日 15時) (
レス) id: 7890b9a918 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かなみ | 作成日時：2021年4月7日 19時
