家事、お引き受けいたします。【橙】

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向井さんはハンバーグを
あっという間に完食してくれた。





向｢ほんまに美味しかった。
また作ってください！｣


｢あ……担当に伝えておきます。｣


向｢え？どーゆーこと？
瀬尾さんは担当じゃないん？｣


｢そうなんですよ。
私は今日だけで、契約していただけるなら
今後は別の者が来ます。｣


向｢えぇ……
瀬尾さんじゃないん……｣







向井さんはしょんぼりして
私を見つめてくる。


え、なんか涙目じゃない……？


いやいや
なんでなんで。


そんなにハンバーグ美味しかった？







向｢俺、瀬尾さんがええんやけど……｣


｢わたし…ですか、｣


向｢……まって、俺
めっちゃキショいこと言ってるやんな。｣


｢いや…そんなことは…｣







ここまで気に入ってもらえたのは嬉しい。


だからキショくはないけど、
さすがに戸惑いはする。







向｢でも決まってることなんやもんな……
しょうがないよな…｣






何がそんなに良かったのかは分からない。


だけど、私もこの短い時間がすごく楽しくて
今日だけだと思うと少し寂しい。


料理もすごく美味しそうに食べてくれたから
向井さんに、
また作りたいって思った。







｢替えられます。｣


向｢……え？｣


｢担当、向井さんが社長に言えば
替えられます。｣







このまま会えなくなるのが
なんとなく、嫌だった。


だからこんなこと言ってしまったの。







向｢そうなん、？｣







向井さんの顔がパァーと晴れた。







向井さん。


また、会えるって
期待してもいいですか。

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