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「……亮平をずっと縛って……っ、本当にごめんね。」
そう言って俯き、ポロポロと涙を流すA。
Aの顔をちゃんと見るために抱きしめていた体を少し離す。
縛るって何。
俺は全然、縛られてなんかなかったよ。
むしろ、縛ってくれたら、どれだけ楽だっただろう。
もしかして、その申し訳なさが、Aが俺に自分の正体を明かさなかった理由なの……？
「ごめんね……」
阿部「っ、Aのバカ」
「え？」
謝ってばかりのAは、俺の言葉に驚いた顔をする。
びっくりするよね。Aのことをバカなんて、言ったことなかったもんね。
でも、今のAはバカだよ。大バカだ。
阿部「俺は、Aに縛られてなんかない。俺は全部、自分で決めてここまで来たんだよ。」
君との思い出はいつも俺を導いてくれた。
阿部「Aを全く感じない世界なんて俺は生きられなかったから。高校も、大学も、就職も。未来を決める時、いつもAが浮かんだ。」
君はもう隣にいないのに。
阿部「そんな情けない俺を責めるのはいいよ。でも、俺の今までの選択をAが哀れまないでよ。」
ふっかに励まされて、ちゃんと生きようと決心して。
だけど、俺にとって生きるためにAが必要で。
だから、迷った時にはいつも君を思い浮かべた。
そうやって、ここまでやってきた、情けない俺だけどさ。
俺はね、君を感じられる場所に行けることがうれしかったんだ。
……それを、縛ってしまった、なんて、悲しく受け取らないで。
阿部「俺、高校の先生も楽しくやってるからね？」
「……うん。授業、凄くわかりやすいよ。」
阿部「ふふ。それは先生冥利に尽きるなぁ。」
「……物理っておもしろいんだね。」
阿部「うん。俺も大好きな科目だよ。」
「先生、楽しい……？」
阿部「ふふ。俺の顔みてて分からない？」
「……楽しそう、かも。」
阿部「正解。」
俺の応えに、Aは「……よかった」と、笑って、泣いた。
他人のことを思って涙を流すやさしい君が、俺は相変わらず大切だと思う。
阿部「ねぇ、A。もう1回、ギュッてしてもいい？」
「えっ！？」
阿部「……やっぱ、ダメだって言われても我慢出来ないや。」
動揺してる彼女を、また自分の腕に閉じ込めた。
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たぬ(プロフ) - 朝桐さん» 最後まで読んで頂けただけでも嬉しいのに、宝石みたいにキラキラした素敵な感想をありがとうございます。頂いた言葉全てが宝物です。こちらこそ出逢ってくださりありがとうございました。 (3月21日 23時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！涙なしでは見れなくて、とても生きててよかったと、見れてよかったと。運命といいますか奇跡にただ救われました。執筆活動お疲れ様です。今後のたぬ様の日々が愛に溢れますように。本当にありがとうございました！ (3月18日 22時) (レス) @page43 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - みみみさん» お読み頂き、素敵な感想までありがとうございます。楽しんで頂けたのなら本当にすごく嬉しいです！こちらこそ、ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 今日初めて見つけたこの作品、１話から今まで全部いっきに読みました☆本当に素敵な作品でした😊ありがとうございました！！ (9月2日 17時) (レス) @page43 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 桜色さん» とっても優しくて愛のある感想を送ってくださってありがとうございます。どの言葉もとても勿体ないくらいですごく嬉しいです。最後まで読んで下さってこんな素敵な感想まで下さって、こちらこそありがとうございます！ (6月5日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年8月24日 22時
