番外編 ページ42
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亮平が佐久間くんに連れていかれて、一人残された私はふと近くの桜の木に近づいてみる。
この桜の木はいつからあるのだろう。
亮平が高校生の頃もあったのかな。
私が卒業する時も、今日のように咲いてくれるだろうか……。
「あー、やっと抜け出せたーっ」
「っ！翔太くん、」
前髪をかきあげながら私のところにやってきた翔太くん。
うわぁ、ワイシャツのボタン、もうほとんど無い……
唯一ちゃんと持っているのは、右手にある卒業証書だけ。
……相変わらず、モテモテですこと。
なんて思っちゃう私は、全然翔太くん離れができてないなぁ。
渡辺「あ、そうだ。これ。」
翔太くんが差し出した拳からぽとりと私の手のひらに落とされたのは、一つのボタン。
これは……
渡辺「第二ボタン、死守するの大変だったんだからな？」
そんなの知ってるよ。
だって後輩も先輩もみんな翔太くんを見てざわざわしてた。
あの女の子たちみんなに強請られたんでしょう？
……だから、今年はもうないんだって思ってた。
形あるものに拘ったってあまり意味は無いのだと思う。
翔太くんも私も次第に大人になって、大事なものの順番が変わっていくって。
それは仕方ないことだって。
そんなのわかってるのに。
ああでも、どうして……。
渡辺「ふはは、お前喜びすぎだろ。」
「えっ！」
渡辺「そんな握りしめなくても、誰も取らねぇよ。」
翔太くんから貰ったボタンを両手でぎゅっと握りしめる私を見つめて、可笑しそうに、でもちょっと嬉しそうに笑う翔太くん。
「……だって、もうもらえないって思ってたから。」
渡辺「はぁ？？ばーか、俺の一番は今もAなんだけど。」
"俺の"って翔太くんの言葉にちょっとだけ含まれた不満そうな声色に気付く。
翔太くんにこんなに大事にされてるのに。
私の、一番は……。
渡辺「……ま。いいけどさ。」
翔太くんはそう言うと視線を佐久間くんや他の生徒に囲まれて写真を撮っている亮平に向けて、少しだけ寂しそうに笑っていた。
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たぬ(プロフ) - 朝桐さん» 最後まで読んで頂けただけでも嬉しいのに、宝石みたいにキラキラした素敵な感想をありがとうございます。頂いた言葉全てが宝物です。こちらこそ出逢ってくださりありがとうございました。 (3月21日 23時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！涙なしでは見れなくて、とても生きててよかったと、見れてよかったと。運命といいますか奇跡にただ救われました。執筆活動お疲れ様です。今後のたぬ様の日々が愛に溢れますように。本当にありがとうございました！ (3月18日 22時) (レス) @page43 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - みみみさん» お読み頂き、素敵な感想までありがとうございます。楽しんで頂けたのなら本当にすごく嬉しいです！こちらこそ、ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 今日初めて見つけたこの作品、１話から今まで全部いっきに読みました☆本当に素敵な作品でした😊ありがとうございました！！ (9月2日 17時) (レス) @page43 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 桜色さん» とっても優しくて愛のある感想を送ってくださってありがとうございます。どの言葉もとても勿体ないくらいですごく嬉しいです。最後まで読んで下さってこんな素敵な感想まで下さって、こちらこそありがとうございます！ (6月5日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年8月24日 22時
