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「りょう、へい……」
阿部「っ、A？」
「う、ん。」
やっと認めて頷いた彼女を、今度は力いっぱい抱きしめた。
阿部「っ、A、A、A＿＿＿＿」
ずっと、ずっと、ずっと。
会いたくて会いたくて、堪らなかった。
会いたくて、会えなくて、苦しくて、悲しくて。
もう二度と、呼べないと思っていた。
もう二度と、返事はないと思っていた。
「うん……。Aだよ、亮平。」
阿部「っ、」
優しく微笑む彼女とは対照的に、俺はまた涙が止まらなくなった。
病室で無機質な音が、彼女がこの世から去ったことを知らせても。
諦められずに、何度も何度も何度も呼んだ、その名前。
あの時はどんなに願っても聞こえなかった返事が今こうして10年以上の時を経て返ってくるなんて、誰が想像できるんだろう？
俺のたった１人の幼馴染。
どれだけ時が経っても、忘れられなかった人。
俺のわがままを聞き入れてくれたせいで、俺のせいで、失ってしまった人。
何度祈っても戻ってきてくれなかった人。
もうずっと夢の中だけしか会えなかった人。
居なくなってもそれでもなお心に住み着いて離れなかった人。
＿＿＿＿＿＿＿俺の全てで、何よりも大切な人。
「……亮平、大人になっても泣き虫なところは変わらないね」
そう言って笑う彼女は、もう幼馴染のAでしかなくて。
ごめんね、男のくせに泣き虫で。
ごめんね、お化け屋敷で前を歩かせて。
ごめんね、俺のせいでいつも女の子と争わせて。
阿部「っ、会いたかった。ずっと、ずっと。」
「うん。ごめんね。……私も、ずっと亮平に会いたかったよ。」
阿部「うん、」
彼女と同じ気持ちだったと分かっただけで、飛び上がりそうな程嬉しい。
「ごめんね。先に居なくなっちゃって。それをずっと自分のせいだなんて思わせて、……苦しめてごめんね。」
彼女はそう言って、悲しい顔をする。
……違う。
違うんだ。
そんな顔しなくていいんだよ。
苦しくても、よかった。
苦しくても、俺は、俺のせいで彼女が死んだと思う方が楽だった。
最期の最期まで彼女と関わっていた、そう思うことで彼女を忘れないでいい理由が欲しかったんだ。
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たぬ(プロフ) - 朝桐さん» 最後まで読んで頂けただけでも嬉しいのに、宝石みたいにキラキラした素敵な感想をありがとうございます。頂いた言葉全てが宝物です。こちらこそ出逢ってくださりありがとうございました。 (3月21日 23時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！涙なしでは見れなくて、とても生きててよかったと、見れてよかったと。運命といいますか奇跡にただ救われました。執筆活動お疲れ様です。今後のたぬ様の日々が愛に溢れますように。本当にありがとうございました！ (3月18日 22時) (レス) @page43 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - みみみさん» お読み頂き、素敵な感想までありがとうございます。楽しんで頂けたのなら本当にすごく嬉しいです！こちらこそ、ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 今日初めて見つけたこの作品、１話から今まで全部いっきに読みました☆本当に素敵な作品でした😊ありがとうございました！！ (9月2日 17時) (レス) @page43 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 桜色さん» とっても優しくて愛のある感想を送ってくださってありがとうございます。どの言葉もとても勿体ないくらいですごく嬉しいです。最後まで読んで下さってこんな素敵な感想まで下さって、こちらこそありがとうございます！ (6月5日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年8月24日 22時
