番外編 ページ38
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ラウ「？あ、それって海の、……って、なんか水滴？どこからか零れたのかな？」
Aちゃんが夏頃描いていた絵に、いくつかの水滴がこぼれ落ちた痕。
雨漏り？……なんてしてないし。
嫌がらせとかじゃないよね……？
Aちゃんかわいいし、それに同学年でもう1人有名な目黒ってやつと仲良いってこの間話してたし……もしかして誰かがわざと、、
不安で顔を上げた俺の視界には、その水滴痕を優しく撫でながら幸せそうに笑うAちゃんの姿が写って、思わず口を噤む。
ラウ「……Aちゃん？」
「あ、ごめん。ふふ。」
その痕にどんな意味があるのか俺にはわからない。
だけど俺が想像したよりも、なんだかもっと優しいものみたい。
ラウ「なんか嬉しそう、」
「え？」
ラウ「あ、それ。その……いいの？」
水滴痕の部分を指さすと、Aちゃんは少しだけ驚いた顔をして見たことないくらい幸せそうな顔でふにゃりと笑う。
「ふふ。うん！」
ラウ「なんで、「ちょっと！いつまで残ってるの！」
理由を尋ねようとした俺達のところに、痺れを切らした部長が顔を覗かせる。
ああもう！いいところだったのに！
真面目な俺たちだから、これ以上先輩に迷惑をかけないようにそそくさと作品を抱えて美術室から出る。
その最中、やっぱりどうしても聞きたくてAちゃんの背中に声をかけた。
ラウ「あっ、ねぇ、その絵って、」
「え？」
ラウ「あ、えっと、タイトルとか、あるの……？」
自分でもなんでそんなこと聞いたのかわからない。
その作品にある"何か"を知りたくて、不器用なりに出した質問。
なんか、聞きたくなったの。
Aちゃんのその表情の理由がわかるかもって。
「…"キセキ"、……かな。」
＿＿＿そう言って微笑んだAちゃんは今より幼い子どものようにも、同い年とは見えないくらい大人なようにも見えた。
キラキラした海の絵に、二人並んだ影に、雫の零れた痕に、きっとそのタイトルの理由があるんだね。
Aちゃんはもう寂しくないのかな？
もう悲しい顔しなくていいのかな？
俺には詳しい理由はわからないことばかりだけど、
桜みたいな彼女が春が過ぎてもどうか幸せでありますように！
そう祈ったある日の話。
番外編 Raul side (完)
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たぬ(プロフ) - 朝桐さん» 最後まで読んで頂けただけでも嬉しいのに、宝石みたいにキラキラした素敵な感想をありがとうございます。頂いた言葉全てが宝物です。こちらこそ出逢ってくださりありがとうございました。 (3月21日 23時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！涙なしでは見れなくて、とても生きててよかったと、見れてよかったと。運命といいますか奇跡にただ救われました。執筆活動お疲れ様です。今後のたぬ様の日々が愛に溢れますように。本当にありがとうございました！ (3月18日 22時) (レス) @page43 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - みみみさん» お読み頂き、素敵な感想までありがとうございます。楽しんで頂けたのなら本当にすごく嬉しいです！こちらこそ、ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 今日初めて見つけたこの作品、１話から今まで全部いっきに読みました☆本当に素敵な作品でした😊ありがとうございました！！ (9月2日 17時) (レス) @page43 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 桜色さん» とっても優しくて愛のある感想を送ってくださってありがとうございます。どの言葉もとても勿体ないくらいですごく嬉しいです。最後まで読んで下さってこんな素敵な感想まで下さって、こちらこそありがとうございます！ (6月5日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年8月24日 22時
