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「ち、違います！」
慌てて涙を拭いながら、彼女はそう言って声を荒らげ、視線を逸らす。
嘘をつく時、視線を右下に向けるのは、Aが嘘をつく時の癖だったね。
その癖のおかげで、俺は彼女がふっかと出かけたこととか、ちゃんと気付けてたんだよ。
A自身は知らないだろうけど。
阿部「どうして、隠すの？」
「隠してなんかっ、！ほ、ほんとに、知らないです、」
その動揺の仕方が、本当にAそっくりで。
あぁ、もう。ほんとに。
こういう一つ一つが、
愛しくて、愛しくてたまらないんだ。
阿部「……俺、Aにずっと会いたかった。」
俺の声は涙声で、きっと目だってうさぎくらい真っ赤だろう。
全然かっこつかないね。
でも、そんなのどうでもいいんだ。
だって目の前に君がいるのだから。
阿部「ねぇ。……Aは俺に会いたくなかった？」
「っ、」
俺はAに甘かったけど、Aも俺に甘かったよね。
こうやって尋ねたら、Aなら"会いたかった"って言ってくれるって、分かってて言ってるの。
ずるいけど、ごめんね。
逃げないでほしい。
何に怯えて嘘をついてるか分からないけれど、俺にとってはどんな形であれAに会えたことは奇跡で。
これ以上ない幸福なことなんだよ。
阿部「Aは、もう俺のことなんて忘れた……？」
「……！」
阿部「……俺はずっと、Aのこと、忘れられなかったよ。」
君のいない世界は、苦しくて、辛くて。
何度も忘れようとしたのに。
忘れるなんて、無理だった。
全然、できなかった。
起きると絶望するのに、君とのやさしい夢を何度も見た。
ほかの人を好きになろうとしても、いつもどこかに君がいた。
君の描いた絵を豪華な額縁に入れて、続きが描かれることはもうないのに完成を夢見た。
＿＿＿＿でも、忘れなかったから、こうして君に気付けた。
懐かしい君の雰囲気が、
俺だけが知っていた君の癖が、
目に焼き付くほど見た君の絵が、
君がAだと教えてくれた。
ねえ、だから、もう観念してよ。
「……っ、私も、忘れたことなんてない」
囁きほどの小さいその声は、それでもちゃんと俺に届いたんだ。
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たぬ(プロフ) - 朝桐さん» 最後まで読んで頂けただけでも嬉しいのに、宝石みたいにキラキラした素敵な感想をありがとうございます。頂いた言葉全てが宝物です。こちらこそ出逢ってくださりありがとうございました。 (3月21日 23時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！涙なしでは見れなくて、とても生きててよかったと、見れてよかったと。運命といいますか奇跡にただ救われました。執筆活動お疲れ様です。今後のたぬ様の日々が愛に溢れますように。本当にありがとうございました！ (3月18日 22時) (レス) @page43 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - みみみさん» お読み頂き、素敵な感想までありがとうございます。楽しんで頂けたのなら本当にすごく嬉しいです！こちらこそ、ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 今日初めて見つけたこの作品、１話から今まで全部いっきに読みました☆本当に素敵な作品でした😊ありがとうございました！！ (9月2日 17時) (レス) @page43 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 桜色さん» とっても優しくて愛のある感想を送ってくださってありがとうございます。どの言葉もとても勿体ないくらいですごく嬉しいです。最後まで読んで下さってこんな素敵な感想まで下さって、こちらこそありがとうございます！ (6月5日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年8月24日 22時
