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阿部「……っ、」
亮平は言葉を飲み込むように俯き、ただ大粒の涙が、抱きしめていた私の頬に落ちる。
私は、そんな亮平の涙を自分の服の裾で拭う。
昔、泣き虫な亮平の涙をこうして拭ってあげるのが私の仕事だった。
それから背中をポンポンって摩ってあげると落ち着いてくれたっけ。
何年も昔の話。
戻れない過去の話。
……懐かしいなぁ。
深澤「っ、」
ふと近くからも小さく嗚咽のような声が聞こえて目線を向けると、ふっかが自分の顔を手で抑えて声を殺して泣いていた。
「ふふ、……どうして、２人が泣くの？」
私より見た目はずっと年上の大人の男２人が、泣いている。
それはなんだか、おかしな空間で。
私は亮平に愛を伝えたのに。
だから、きっと私達は両想いで。
泣くようなことではないはず。
なのに。
亮平の涙は、拭っても拭っても、零れてきて。
いつの間にか私の服の袖はびしょびしょ。
「もう、泣かないで？そんなに泣いたら、目が腫れちゃうよ。」
阿部「っ、」
泣き止めるよう安心できるようにと微笑む私を、亮平は潤んだ優しい瞳で見つめ返してくる。
深澤「っ、ほんっと、よかったな……。」
ふっかが、そう呟いて、真っ赤になった目で優しく私たち２人を見ていて。
……あぁ。きっとふっかが、今まで私のことで苦しんでいた亮平を支えてきてくれたんだなって直感でわかってしまった。
「ふっか……。ありがとう。私、ふっかにもまた会えて、また、Aとして話ができて、本当によかった。」
亮平を支えてくれてありがとう。
側に居てくれてありがとう。
私に気付いてくれてありがとう。
私のこと追いかけてきてくれてありがとう。
「二人とも。私のこと、忘れないで居てくれて、っ…ありがとう。」
私のことなんか忘れて幸せになっていてほしいと、二人に再会する前に何度も思った。
その気持ちは本当で。
私のことで苦しんで欲しくないって、そう思っていた。
だけど、また出会ってしまったら。
やっぱり、覚えていてくれたことが、すごく嬉しくてたまらなくて。
何故だろう。
泣くつもりなんてなかったのに。
気付いたら３人で泣いていた。
愛しい人に感謝や愛を伝えられることが、こんな泣けるほどしあわせなことだなんて、知らなかったんだ。
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たぬ(プロフ) - 朝桐さん» 最後まで読んで頂けただけでも嬉しいのに、宝石みたいにキラキラした素敵な感想をありがとうございます。頂いた言葉全てが宝物です。こちらこそ出逢ってくださりありがとうございました。 (3月21日 23時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！涙なしでは見れなくて、とても生きててよかったと、見れてよかったと。運命といいますか奇跡にただ救われました。執筆活動お疲れ様です。今後のたぬ様の日々が愛に溢れますように。本当にありがとうございました！ (3月18日 22時) (レス) @page43 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - みみみさん» お読み頂き、素敵な感想までありがとうございます。楽しんで頂けたのなら本当にすごく嬉しいです！こちらこそ、ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 今日初めて見つけたこの作品、１話から今まで全部いっきに読みました☆本当に素敵な作品でした😊ありがとうございました！！ (9月2日 17時) (レス) @page43 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 桜色さん» とっても優しくて愛のある感想を送ってくださってありがとうございます。どの言葉もとても勿体ないくらいですごく嬉しいです。最後まで読んで下さってこんな素敵な感想まで下さって、こちらこそありがとうございます！ (6月5日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年8月24日 22時
