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「康ちゃん、」
今日は東京での少年たちの休演日で
前から連絡していた康ちゃんに会いに来た。
もちろん、その内容は、
向「なにわ男子て、そのままやんな」
関ジュの新グループ
"なにわ男子"についてだ。
自嘲気味に笑う康ちゃんの座っていた横の席に座ると
康ちゃんは下を向きながらゆっくりと話し始めた。
向「……正直な、なんでなにわ男子俺入っへんのって思ってるんよ
やって、自惚れてること言うけど、結構関西Jrを引っ張ってきた。
って思っとって、やからグループ作られるんやったら俺入ってるやろって思ってた」
「そうやね、康ちゃんは関西Jrのトップにいてくれてるもんな」
康ちゃんは僕の言葉に照れながら微笑むと、また話をし始めた
おおきに、なんて言うてたけど、それは事実なんよ、康ちゃん。
康ちゃんは関西Jrのトップに立ち、他のメンバーの先頭に立って
今の関西Jrをここまで引っ張ってきてくれたんだよ
康「けど、今回の件は誰も悪ないやん?
関西Jrに新しい風を吹かせようとしてくれた大倉くんも
選ばれたメンバーも、やからなんて言うたら分からへんねん」
「…そうやね」
そう、この件は誰も悪くないから誰も責めることができない。
なにわ男子メンバーも今の康ちゃんみたいに複雑な思いを持ってるし、
大倉くんも関西Jrを気にかけてくれていての結果がこれだから、誰も責めるなんてしてはいけないんだ。
「…康ちゃんはさ、なにわ男子結成についてはどう思った?」
向「それは素直におめでとうやな、丈も大ちゃんも皆も頑張ってきたから
その努力が実ったんよ、やからおめでとうって思ってる」
そう言って笑った康ちゃんは嘘なんかついていなくて
心の底からおめでとうって祝福していた顔をしていた。
する、と急に康ちゃんは真面目な顔をして
僕に向かって言葉を発した。
向「…あんな、俺ジャニーズ辞めよかなって思ってんねん」
そういった康ちゃんは今にでも泣き出してしまうのではないかと思うくらい
苦しそうな顔をしていた。
そして、足の上に置いていた手を余計に強く握ると、
向「もう潮時かな…って」
「…僕は康ちゃんが決めた事なら否定はしないよ、
けど、康ちゃんはこんな所で諦める人かな、」
そう言うと康ちゃんは俯いていた顔を上げた。
その目にはうっすらと涙が浮んでいた。
「僕はまだ康ちゃんと戦ってたい」
僕はそう言うとお店を出た。
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作者名:suger | 作成日時:2021年12月5日 7時