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あべちゃんが行っちゃって、おれはその場で準備運動。
その場で軽く跳ぶけど、頭の奥の疼痛に思わず顔をしかめる。
どうしてもまだ調子が戻んなくて、……まあそりゃそうか、戻るも何も悪化してるんだから。
でもやるしかない、みんなにこれ以上迷惑はかけられないから。
相手チームは翔太が戻ってきて、めめが出て行った。
向こうからあべちゃんが戻ってくるのが見えて、大きく手を振る。
あべちゃんが持ってきた人形を見たスタッフさんが「借り物成功」と手で丸を作った。
阿「っさくま、」
息の上がったあべちゃんのグーサインに応えて、お題を引く。
『 love 』
え、何、どういうこと?
紙を開くと、青色で印刷されたたった一言が目に飛び込んできた。
謎解きなんて聞いてない。
まさか『愛』を持ってくるわけにはいかないし、きっと文字が青いのがヒントなんだ。
『love』の意味は『愛する』。
さすがにこれは分かった。
__ん?
愛する?
愛す?
あいす……。
アイス!
青いアイスを持ってこいってこと?
そこまで考えて顔を上げる。
Bチームは4番手のめめが戻ってきてなくて、おれにはまだ余裕がある。
アイスが売っていそうな売店は、……ちょうどおれから見て右と左にそれぞれ1店舗。
右側を選んで当たったらいいけど、反対側だったら急がないと間に合わない。
2分の1の可能性に賭ける気持ちで、右側の店舗に向かって掛けだした。
激しくなった心拍数に合わせるみたいに、頭の奥が酷く疼く。
距離にして200メートルもないくらい。
ついてきてるカメラに笑顔を見せて、店に入る。
普段ならこれくらいの距離走ったって息は上がらないのに、激しく肩を上下させないと空気が取り込めない。
佐「……っここに、……青い、アイスってあります……っ?」
企画趣旨を理解してる売場のお姉さんが、申し訳なさそうに眉を下げる。
「青いアイスはあちらの売店にございます、……ここから300メートルほどの」
がっくりと首を落として、お姉さんにお礼を言って店を出た。
もう、とことんツイてない。
……でも向こうの店舗には「青いアイス」があることが分かったんだから。
逆境の方が燃えるって、おれはそういうタイプだもん。
なんとか気持ちを切り替えて、反対方向に走り出す。
頭は脈打つようにずきずきと痛むけど、そんなの無視して。
やっと受け取った青いアイスをこぼさないように、慎重に広場に戻った。
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女性イルカ(プロフ) - ほんとですか!ありがとうございます! (2021年12月2日 6時) (レス) @page22 id: b415e83c8d (このIDを非表示/違反報告)
九花(プロフ) - 女性イルカさん» 最後まで読んでいただいてありがとうございます。なるほど……、少し遅くなるかもしれませんが、考えてみようと思います! ありがとうございます^^ (2021年8月26日 0時) (レス) id: 1e294b8d10 (このIDを非表示/違反報告)
女性イルカ(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後ら辺にあった6人の旅行の時のバージョンとかって新作で出されたりしませんか?めっちゃ見てみたいです (2021年8月24日 15時) (レス) id: b415e83c8d (このIDを非表示/違反報告)
九花(プロフ) - 美咲さん» コメントありがとうございます。最高と言っていただけて本当にうれしいです! こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年12月13日 14時) (レス) id: 1e294b8d10 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 完結おめでとうございます! いつも更新されるのを楽しみにしてました!! 最高の作品をありがとうございました!(≧▽≦)/ (2020年12月13日 12時) (レス) id: 477354eb00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九花 | 作成日時:2020年11月21日 20時