時々、狼 (ページ18)

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『せんせ、』

阿「何も言わなくていいよ、とりあえず座ろっか」

座ったら座ったで安心して

我慢してた涙が一気に溢れだしてしまった

『うっ、ひっく……』

阿「目擦らないで、赤くなっちゃうから」

先生の長くて細い指が涙を拭う

阿「どうして岩本と帰りたくないの？」

『……照くん、彼女出来たみたいだから』

阿「え？」

『さっき、準備室に持ってった時。照くんと仲良い女の先輩とキスしてたんです…だから…』

阿「そっか…」

『ずっと照くんが好きだったのに…っ』

わたし先生相手になにを告白してるんだろう

なんて思った時には先生の腕の中にいて

阿「見返してやろっか、俺と」

『え、？』

阿「岩本に彼女が出来たなら、本橋さんも彼氏を作ればいい」

わたしの目を捉えた先生の目は

もうどこにも行かせないと言ってるみたいで

少しだけ、恐怖を覚えた

阿「Aちゃん……」

妙な色気を纏った先生の顔が近づいてくる

逃げようとするとグッと後頭部を寄せられて

熱をまとった先生の唇が押し当てられた

何回もくっついては離れを繰り返す

『あぅ、せんせ、やめ』

照くんのために取っておいたファーストキスを

いとも簡単に先生に奪われてしまった悲しさと

目の前にいる阿部先生の色気に頭が翻弄される

阿「去年、岩本の家に家庭訪問行った時。たまたまAちゃん遊びに来てたよね？」

『んぅ…、っ』

阿「あの日、初めて会った時から…俺のものにしたいって思ってた…」

先生の手はいつの間にかブラウスの裾から中に入ってきてて

優しくまさぐるように撫でるから

どんなに拒んでも身体は正直に反応してしまう

『や、ひか…っ』

阿「来ないよ、誰も来ない、こんなとこ…」

『いや…っ、照くん、照くん……！！』

恐怖が限界に達した時

バンッとドアを思いっきり開ける音がした

目「なにしてんだよこの変態教師、」

『れんく…！』

阿「あーあ、残念。これからいいとこだったのに」

無理やり先生から引き離すと

今度は蓮くんの腕の中に閉じ込められた

目「もうAに手出すな。とっとと消えろよ」

阿「…はーあ。ほんと、お前らムカつくわ」

阿部先生はキッと蓮くんを睨むと

首の辺りを掻きながらだるそうに出て行った