深澤さんは○○です。

＊２７ ページ27

その日の夜

打ち合わせのために稽古場をしばらく離れた






遅くなった時のために

結城くんにみんなの送迎は任せていたんだけど

念の為に、と稽古場を覗くとまだ誰か残っていた









『………渡辺さん？』

渡「あ、おつかれ…」

『お疲れ様です。まだ残ってたんだ』

渡「新しい照の振り付けなかなか覚えらんなくてさ」








顔を赤らめて、髪の毛をかきあげる渡辺さんが美しくて

動画に撮ってファンの子にあげたいくらい (やらないけど)








渡「お前先帰ってていいよ、自力で帰るから」

『そんな訳にはいきません！ちゃんと付き合うから』

渡「……はは、ありがと」









渡辺さんが練習している間

先程の打ち合わせの資料を改めて確認する







全28公演という規模の大きさと共に

今度のライブの重大さがひしひしと伝わってきた






最近テレビの出演回数も増え

期待の新世代、と呼ばれる彼らにかかるプレッシャー

それを考えるとわたしも気が気でならなくなる









渡「A、悪ぃ。水取ってくんね？」

『ん、はいよ』

渡「サンキュ」

『……渡辺さんてほんと顔面いいですよね』

渡「ぶっ…！！急にやめろよ！！」

『あ、ごめんなさい』









そうだ、渡辺さんは急な褒めに弱い人だった








渡「てかさそろそろさん付けやめたら？」

『えっ、いまさら？』

渡「なんか嫌じゃん、タメ口なのに名前はさん付けって」

『……そういうもん？』

渡「そういうもん。明日からさん付け禁止な」

『これまたいきなり……』









絶対だかんな！なんて指さしながら仁王立ちするその姿は

ファンの子やメンバーがよく言う " 5歳児 " のようだった

＊２８→←＊２６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す