SnowHouse

＃３７ ページ37

みんなと離れてから１ヶ月ちょっとが経った






当たり前だけど元の生活に戻って日々を過ごしている





いまは事務所の重要な書類作成や

佐藤さんの仕事をパソコン上で手伝っている






長時間の外出はみんなや記者の目に止まるかもと

事務所に断固として禁止され

連絡を取ることも許されなくなった







わたしがあの家を去った日に

阿部くんからLINEや電話が沢山来た




出たい気持ちをぐっと抑えて、

泣きながら通話拒否のボタンを押した









佐藤さんやみんなと一緒に準備してた単独公演も

社長に止められて見に行くことは出来なかった








みんなのテレビの出演回数は舞台の本番や映画の公開が近づくにつれて段々と増え、

ついこの間は某有名音楽番組にも出演していた








テレビの向こう側で頑張っているみんなは

本当にキラキラしていて、眩しくて

最近まで一緒にいた人とはなんだか思えなかった








録画した彼らのドキュメンタリーを見ていたら

急にスマホが震えた




佐藤さんだ








『お疲れ様です、Aです』

佐藤「お疲れ様。今日は仕事の話じゃなくて…」

『？はい』

佐藤「あの、今度の彼らの舞台の件でね」

『ああ、それならわたし言われなくても見に行かな…』

佐藤「違くて！社長が見に来ないかって」

『……え？』

佐藤「単独公演の時にAさんに見に来たらダメだって、言ったでしょ。それ聞いたメンバーが怒っちゃってさ…」

『……』

佐藤「1番遠い席なんだけど、Aさんが良ければ見に来てくれないかな？チケットももう届いてるはずだから」

『いや、でも』

佐藤「Aさんの判断に任せるから。じゃ、そういうことで。お疲れ様でした」

『え、あのちょっと！』









家のポストを見に行くと、

本当にチケットが入っていた






しかも日付は３日後









『………どうしよう』









これを逃したらいつみんなに会えるか分からない






でも

わたしが行くことで迷惑かけるかもしれない






色んな感情が渦巻いた

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