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なんとなく、
なんとなくだけど嫌な予感がして_______
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さっき副編集長がくまのストラップを買ってるところを知っている以上、このまま放置っていうのもなんだか、
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普段は嫌味なやつだけど、
どうしても見過ごせなかったの。
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梨 「みんな出来たやつここに並べて〜、」
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夕食の準備が全て整い社員の皆がテーブルに集まっている中、気付けば私はくまのストラップの方向まで足を進めていた。
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…、…
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あ 「…てか、暗、」
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陽はすっかり暗く、ほぼ何も見えない。
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お菓子やら非常用のものが色々入ったリュックを背負っているから足取りも重く、
なおかつ歩き始めてたったの数歩だが森が沢山茂るこの中はまるで迷路で。
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キャンプすらまともにしたことがない素人が、ここに副編集長がいるかもしれないという根拠のない理由だけで、この場所に来てしまったことを後々後悔する。
今更後悔しても、遅すぎるけど、
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あ 「…副編集長いらっしゃいますか〜?」
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携帯の灯りを頼りにただ前へ進んでいく。
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副編集長の名前を呼んでみるがそれらしき人は見当たらず、
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ていうかこんなところに本当に人がいるのかな、
でも、だとしたらこのくまのストラップは?
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あ 「…、」
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落ち着け、私。このままだと私が迷子になっちゃうって。
というか…、さっきどっちの道から来たっけ。
ちょっと本格的に、やばいかも、?
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あ 「…えっと、こっちから来たから、」
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携帯の方角を示すアプリを見ても出口が分からなくなって。
こんなことなら、康二くんか梨花さんに一言言って出るんだった。
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ど、どうしよう…、あー、なんて頭を抱えていれば、その道に続く階段のようなものがあって。
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その階段を一歩、また一歩と踏みしめる。
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小さい声で副編集長と呼んでいれば、
灯りに灯る岩の近くで佇む誰かが一人。
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やっぱり、
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あ 「本当に、居た、」
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渡 「…お前、何やってんの。」
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作者名:くろーばー。 | 作成日時:2024年1月21日 16時