＊61 ページ1
.
まさかこんなところ出会してしまうなんて想像もしてなかった。
.
あ 「あの、えっとー…」
.
渡 「…最悪。」
.
あ 「それはこっちの台詞です！
せっかく会わなくて済むと思ってたのに…」
.
渡 「やっぱお前の声ってすげー耳ｷﾝｷﾝするわ。」
.
私達の出会いは口論で始まり、いつも口論に終わる。
.
黒のロングコートを身に纏いゴールドのピアスをちらつかせた渡辺副編集長はこの可愛らしくも優しい雰囲気のお店にはどうも不釣り合いな気がして。
耳キンキンするわ。なんて顔を歪める副編集長にさっきまでの温かい気持ちが一気に冷え切った。
どこまでも嫌味ったらしいわ、このお方は、
.
あ 「もうてっきり帰ったのかと思ってました。」
渡 「こっちは仕事で来てんだよ。
そしたら、どこかの社員旅行と行き先が被ったってわけ。」
あ 「それは奇遇でしたねー。こんなところで私と会うのは想定外だったと思いますけど、」
渡 「…あぁ、そうだな。」
.
副編集長のことだから確かに用もなく箱根まで来ているのはあり得ないと思ってたけど、そういうことだったのか。
ということは、今この店に来ているのも副編集長の手にくまのストラップが乗っているのも仕事の為ってこと？
.
あ 「ちなみに、そのストラップ。私も一番可愛いと思いました。」
渡 「…は？」
あ 「少しぶさいくだけどどこか愛くるしいというか、副編集長も同じ意見ですか？」
.
残り一個のくまのストラップを手に取ると副編集長は耳を真っ赤にしていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3525人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くろーばー。
| 作成日時：2024年1月21日 16時
