あざといアイドルに恋した。《Ryohei.A》

＊17 ページ18

.




大学が終わって、そのまま来たからちょっぴり汗かいちゃった。


しかもちょっと走って来たから尚更。




.




もう、里奈ったらなんなんだろう。


急にメールで『早く来て！』だなんて。まるで、向井さんと阿部さんが来店して来たあの日みたいに興奮してない？


せめて、何なのかだけでも教えてよ〜。




.




あ 「…よし」


更衣室にある鏡で、身だしなみをチェックして。


前髪平気、制服もシワない。うん、大丈夫そう！




.




まだ、出勤時間じゃないけど、店長いないしバレないだろう。





.




そのまま、タイムカードを押して、ホールに出る。




.





あ 「…え」




.




なんかこの光景見たことあるぞ？


あの日みたいにカメラと照明はないけれど…


里奈と、あと一人。ふたり…




.




えっ、えーっ！！！




.




思わずその場に立ち尽くしてしまう。




.




里 「あ、Aやっと来たぁ〜」


私に気付いて里奈がこちらに歩み寄って来る。


里 「もう遅かったじゃない！」




.




『遅かったじゃない』じゃなくてさ…今の状況全然飲み込めないんだって！




.




向 「…あ！あの時の子や」


阿 「こんにちは。またまたお邪魔してます」


向 「阿部ちゃん。またまたって、何や？」




.




ま、待って…それに向井さん？！阿部さん？


駄目だ。頭が全然ついていかない。


え、と…もしかして。もしかすると完全プライベート？



.




遠くから笑顔で手を振って下さるお二人にどう返したらいいか分からない。




.




その姿はまさにザ、アイドル。




.




…か、かっこいい。




.




この前阿部さんから来て下さった時、『また来て欲しい』そんな自分の正直な気持ちを伝えられなかった。


もう本当に会えないんじゃないかって、そう思った。


けど、阿部さんは来てくれた。




.




あ 「…！」




.




彼にバレないように頑張って嬉しさを隠そうとするけど


純粋にまた来てくれた。


その事実が嬉しかった。




.

＊18→←＊16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す