恋と君を知った季節

7 ページ7

「…ぅ…」




寝返りを打とうと動こうとすると、身動きが取れず苦しくて目が覚める。







暑い…


んだよ…、折角今日は休みなのに。







寝起きで開きづらい目を無理矢理こじ開けると、目の前にある顔にびっくりした。









「え…」






すぅすぅと規則正しい寝息を経てながら眠る藤ヶ谷。

その腕は俺をガッチリとホールドして離さない。









これ…どういう状況…？







一緒に寝よって言ったのは覚えてる。






…駄目だ、

そこからの記憶が全くねぇ…。






なんで俺は藤ヶ谷に抱き締められてるんだ？

…まさか俺が何か言ったとか…？









…まぁいっか。







藤ヶ谷の腕の中は暑くても、なんか落ち着く。

やっぱりなんかいい匂いするし、心地いい。









俺はそのまま、心地良さに目を閉じた。









さらさら〜…

つんつん…

ぷにっ…






何やら変な効果音と共に心地いい眠りから目を覚ました。


藤ヶ谷の腕の中で眠ってた筈なのにもう温もりはなくって、代わりに頬や髪に温もりを感じる。







…って…








「…なにやってんの？」


「あ、起きた？」






起きた？じゃねえよ…









俺の髪の毛を触ったり、

頬をつんつんとつついたり…

ぷにーっと摘んだり…




そんなのしたら普通起きるよ？









「やっと北山起きてくれた。」


「へ…？」




んっ、と差し出されるスマホで時刻を見るともう午後になってた。





うそ…俺、どんだけ寝てるの…？









「起こしちゃってごめんね？夕方にはもう行かなきゃだから…。」


「あ……。わりぃ。」







今日は休演日と言っても、明日からはライブだから夕方にはもう行かなきゃいけない。








「んーん、北山の寝顔見れたからいいよ。」


「…は？」


「かわいかった。」





あまりにも真顔でさらっと言うもんだから、
上手く言葉を理解できない。




これが藤ヶ谷にとっては普通なのか…？





無駄にドキドキしてる俺の気持ちを悟られないように、俺は体を起こした。

8→←6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す