標的474 ページ34
「タマ」
数日後の昼下がり。私は町が見渡せる丘にいた。ふわりと吹くそよ風を感じていると声をかけられる。振り返ればお姉ちゃんがいた。
「お姉ちゃん」
「こんなところでどうしたの?」
「え、えっとね……そよ風を感じたくて。それにここにいればお姉ちゃんと会えるような気がして」
「そっか。さすがタマ。そのカン大当たりだったね」
「あ、ありがとう」
「にしてもここ一年の間、色々あったね」
「う、うん。六道さんと戦ったり、ヴァリアーとリングをかけて戦ったり、未来に行ったり」
「そうそう。そして古里炎真達と戦ったり、虹の代理戦争をしたり。……なんか戦ってばかりいるような気がする」
「で、ですね」
でも……とても楽しい一年だった。辛い時も苦しくて涙を流した時もあった。けどそれ以上に嬉しいこと楽しいことがあった。
そう考えるとこの一年は相当悪いものではない思う。
「お姉ちゃん」
「ん?」
「私、お姉ちゃんのこと守れましたか?ちゃんと、お姉ちゃんの役に立てた?」
「もちろんさ。むしろタマのことを役立たずだなんて思ったことは一度もないよ」
私は彼女を守れるほど強くなりたいと願った。けど願うだけじゃダメなんだと気付いた。だから強くなった。
……お姉ちゃんに一度聞いてみたかったんだ。そしてその言葉を待っていた。
目を潤ませる私にお姉ちゃんは困ったように笑い、抱きしめた。
「全く相変わらずタマは泣き虫さんだね」
よしよし、と頭を撫でられ私はお姉ちゃんの腰に手を回した。
「お姉ちゃん」
「うん?」
「私、お姉ちゃんの妹でよかったです。お姉ちゃん、大好き」
「……っ!!」
ボッと顔を赤らめるお姉ちゃんに私は笑った。
青空の下、私達はそれぞれの彼氏がやってくるまで抱き合っていたのだった。
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