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「あ、お姉ちゃん、お帰……!??」

ただぼんやりと天井を見つめているとガラッとスライドドアが開く音が聞こえた。お姉ちゃんが帰ってきたのかとそちらをみればそこにいたのは少し息を切らしている恭弥さんがいた。

「きょ、恭弥…さん」

恭弥さんは起きている私を見るやホッと安堵の息をつく。ハッと我に返った私は、慌てて椅子に座るよう促すと恭弥さんは無言のまま近くの席に腰を下ろした。

「……怪我は?」

「え、えっと……麻酔がきいているのか今のところ痛くはない、です。けど……恭弥さんも入院していたのですね」

「まあね。僕以外にもいたけど……ってそれはいいんだよ。君が起きてよかった」

「え、ええっと……心配してくださりありがとうございます」

「当たり前でしょ。君は僕にとって大切な存在なんだから」

ー大切な存在ー

『君が好きだよ、珠代。だから誰にも取られたくないし、独り占めしたい』

その言葉と同時に脳裏に過ぎるは、恭弥さんの告白の言葉だった。ボッと赤くなる私に恭弥さんはくくっと喉を鳴らして笑う。

その笑顔にふと私は思う。
あの時、彼を失わなくてよかった、と。

ヴァリアーと戦った時、私は彼を失いたくなくて彼の前に出た。けどそれは未来で彼が私の夫だったからではない。

彼だから。恭弥さんだから守りたかったんだ。

彼に触れられて嫌悪感はなかった、そして婚約者と名乗るみっちゃんが現れて少し不快な気持ちになった。

その人は私の大切な人だから取らないで、と心の奥底で悲痛な叫びを上げていたんだ。

ああ、そうか。……私はあの時から……ううん、その前からきっと彼が好きだったんだ。

いつの間にか力んでいた肩の力をふっと抜いた。

「恭弥さん」

「ん?何?」

「わ、私……貴方のことが、恭弥さんのことが好きです」

そう一言いうと恭弥さんは大きく目を見開いた。それからガタッと立ち上がり私の手をそっと握る。

「ホント?」

「ほ、本当です」

「嘘じゃない?」

「貴方に嘘なんかつきません。本当に貴方のことが…」

好きだ、と言おうとしたがその前に口を塞がれた。唇に触れる柔らかい感触で私はキスをされているのだと気付く。

きっと以前の私なら動揺しすぎてオロオロしていたことだろう。けど……

私は受け入れるようにそっと目を閉じたのだった。


それから間髪入れずにお姉ちゃんが入ってきたのは10秒後のことだった。

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作者名:小町&夜野兎 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年10月6日 20時

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