第百一訓 ページ11
ｻﾞｻﾞ
また映像にノイズが走り場面が移り変わる
固い材質の壁が崩れ瓦礫が散乱している場所で女は男を見ていた
男は瓦礫に埋もれ、血だらけで横たわっている
男の手を取り側にしゃがみ込む女もまたボロボロで見窄らしい姿だった
穏やかな顔でたどたどしく何かを語る男
女の表情は黒く塗りつぶされている
しかし突如、穏やかだった男の表情は180度変わる
眉を寄せ憎しみの込められた目を女に向け男は口を開いた
″ユルサナイ″
声は聞こえないが、口がそう動いたように見えた
『あァ、これも私か…』
Aがそう呟いた瞬間、空間全体に響くような声が聞こえてきた
＿オマエは何も護れやしない
＿誰一人護ることなんてできず、傷つけ失っていく
『私は、誰も護れない』
＿オマエは何故生きている
『私は…』
＿生き地獄、生きている限りオマエを待っているのは地獄だけだ
私は…どうして生きているんだっけ
ドロドロした何かに体が呑み込まれていく感覚
＿オマエは何故生きていられる
『……』
何も考えられない
何もかもどうでもよくなった
そのまま身を委ねようとゆっくり瞼を下ろしかけた時
ｻﾞｻﾞ
『…！』
左側の映像にノイズが走ったのが視界に入り反射的にそちらを見た
木の幹にもたれるように、少女は座って身体を預けていた
燃え盛る炎が道場を焼き尽くす様を少女はただ呆然と見ていた
ふと炎の中に人影が現れる
その人物は陽炎のようにゆらゆらとぼやけており、ハッキリ人相は分からない
火の海から出てきた人物は一本の刀を少女に渡した
Aの脳内に声が響く
″侍になりな…″
″迷ってもいい、悩んでもいい…″
″お前の理想を追い求め続けろ…″
″そのために生きろ、生き続けろ″
″醜くてもいいじゃねェか、目を背けるな、抗い続けろ…A″
映像内の人物は少女の頭を優しく撫でた
それは映像に映る出来事なのに、
何故か今、Aも撫でられているような気がして心がぽかぽかする
『私は…侍に、なる』
侍になって、あの人に…
私に生きる道を示してくれたあの人にもう一度会いたい
会って伝えたい
あなたという存在があったから、私は生きる道を選べたのだと
理想なんて程遠いけれど走り続けられるのだと
ひとりの侍として…いつかあなたと再会できるように…
真っ暗だった空間が徐々に温かい光に包まれていく
『だから私は生きるんだ』
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みぃ(プロフ) - この作品とっても大好きです！更新頑張ってください！ (2019年6月15日 16時) (
レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
伝説じゃないパンダ(プロフ) - とても、面白かったです！続きがとても楽しみです！立花。。。。あ、立花ぁ〜。続編おめでとうございます！！更新応援しています！ (2019年5月3日 20時) (レス) id: 38426ec896 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！立花、、、、辛いです(泣) 続き楽しみにしております。頑張ってください！！ (2019年4月18日 1時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
時神時神@コーラ中毒(プロフ) - 立花……（泣）続き楽しみに待ってます……立花ぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ (2019年4月18日 0時) (レス) id: 6a39446066 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまね | 作成日時：2019年4月17日 23時
