カモフラージュ ページ7
(ryota side)
「ねぇ佐久間ってさ、なんでA推し公言してるの?」
雑誌の取材終わり、マネージャーの車の中でずっと疑問に思っていた事をぶつけた俺に、佐久間は「ふぇ?」ってただでさえ丸い目を更に丸くした。
「なんでって……え、なんでもなにもA可愛いじゃん」
「や、可愛いけど」
「でしょ?癒しなの。俺の3次元の嫁なのよ」
「…………うん、で、本当はなんで?」
気付いてないとでも思ってる?佐久間が由菜を好きだって事。
由菜の事が好きなはずなのに、いつからか佐久間は色んな媒体でAの事が大好きだと公言しだして。
さっきだって、取材で「バレンタインにチョコを貰いたい相手は?」って聞かれて迷わずAって答えてた。
そんなの、佐久間の気持ちに気付いてる俺からしたら違和感でしかなかったんだよね。
「なになに、怖いんですけどぉ…」
真っ直ぐに佐久間を見た俺から目を逸らすと、佐久間は困ったようにその目を泳がせていて。
「いや、ごめん。言いたくないなら別に構わないんだけど……」
「…………んー……まぁ涼太にならいっか」
そう言って俺の方を向き直すと、誰にも言わないでよ?なんて困ったように笑った。
「……カモフラ、って言ったら聞こえ悪いかなぁ」
「由菜を好きなのを隠すためって事?」
「にゃははっ、すげぇストレートに言うじゃん!」
「ごめんつい……」
「ん、いいよ別に。てか気付いてたんだ?俺の気持ち」
「……まあ、俺はね」
「……じゃあ分かるでしょ?由菜に俺の気持ち気付かれて困らせるのは嫌なの。
由菜が好きなのは翔太だし」
眉を下げてそう言った佐久間から伝わってくる、由菜が大切でしょうがないって気持ち。
その想いは真っ直ぐで美しくて、俺には眩しいくらいなのに。
……なんでかな。Aの気持ちを考えたら、俺はひどく切なくて。
「でも、Aの事も大好きなのは本当だよ?」
「うん、分かってるよ」
「まあでもAってめちゃめちゃ翔太と仲良いよね。あの2人ってデキてたりするのかな?」
「…………ん、どうだろうね」
ああそっか、佐久間にはそう見えてるってわけか。
詳しい事は俺も知らないけどさ、
俺にはとても、そんな風には見えないんだけど、ね……。
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すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» →思います。曖昧なお返事ですみません。コメントとても嬉しかったです! (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» 読んでくださり、またコメントまでありがとうございます。仕事が忙しくなり執筆を一度中断して以来同じように書ける自信がなくずっと更新しないままになっており大変申し訳ないです。続きは書かないと決めた訳では無いので、また更新されていたら読んでいただけたらと (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
ひろかずみつすけ(プロフ) - とっても面白かったです。続編はもう書かれないですか? (2022年11月15日 6時) (レス) id: d2c3399ce2 (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - reeeiiiさん» こんばんは、いつもご覧いただきありがとうございます> <!これからもギュッとしていただけるように頑張ります☆コメントありがとうございました!! (2021年3月5日 23時) (レス) id: adb2c5fada (このIDを非表示/違反報告)
reeeiii(プロフ) - こんばんは。いつも更新楽しみにさせていただいてます!胸がギュッとなってきました!次回更新も楽しみにしてます! (2021年3月5日 21時) (レス) id: f41e0f4c92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すかる | 作成日時:2021年1月22日 21時