Snow×Snow

お似合い ページ38

(daisuke side)



『……私、ちょっとお手洗い行ってくるね』



そんな中、沈黙を破ってパタパタと足早に部屋を出て行ったのは由菜で。


その声が微かに震えてた事に気付いたのは多分俺だけ…だと思ったけど、どうやら違ったらしい。

翔太を想う由菜に寄り添える自信がなくて彼女を追いかけられなかった俺の代わりに部屋を出て行ったのはふっかで、部屋には俺ら4人が残された。



…………ふーん、ふっかも案外本気なんだ？なんて。



『……ごめんね、大ちゃんも舘様も。迷惑かけちゃって』

「……まーまーA、もう謝んないでよ。今回は記事にならなかったんだから別に迷惑もかかってないし、ね？」

『……でも、』

「てか、別にいいんじゃない？グループ内恋愛しちゃだめなんて決まりないんだし、」



ごめん、ってずっと繰り返すAは翔太とは何もないって言うけど、正直こんな写真まで撮られて何もないって無理があるっていうか。何かしらはあるでしょ？って。

それに、いっそ2人が堂々とくっついてくれたら由菜の気持ちも変わらないかなって。心の片隅でそんな事思っちゃった俺、最低かな？



「別に事実なら事実でーー」

「佐久間、」



いいんじゃない？って言おうとした俺を遮るように「俺らマジでそういうんじゃねぇから、」って言った翔太の声は少し鋭かったけどさ、


……でもさ、翔太。本当に違うなら、なんでこんな写真撮られてんの？
Aと本当に何もないって言うなら、ちゃんとその言葉に説得力持たせてよって、そう思う俺は間違ってないよね？



「にゃは、……そうなの？仲良いしお似合いなのにね」

『……っ、』

「…………」



俺の言葉に顔を歪めた翔太がそれ以上言葉を返す事はなくて。



「……っ、まあまあ、とりあえず今回は記事にならなくて良かったよ」



涼太が場を繕うようにそうフォローしてくれたけど……

それ以降黙り込んだ俺らの間には、打ち合わせが始まるまでずっと重い空気が纏わりついていた。



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