お見舞い ページ33
(A side)
照から預かった資料と近くのスーパーで適当に選んだ食料を持って尋ねた大ちゃんち。
一応数十分前に今から行くね、って一言LINEはしておいたけどまだ返事はなくて。もし寝てたら申し訳ないなって思いつつ、そっとエントランスのインターホンを押してみる。
待つ事数秒、モニターから「んぇ、A…?」って声がして。
お見舞い来たよ、って言えばエントランスのドアが開いて中に通された。
部屋の前に着けば、「わざわざ来てくれたの?ごめんねぇ、」って出て来た大ちゃん。
マスク越しでも分かるその赤い顔がまだ熱が下がっていない事を物語っていて。
「いやあ申し訳ないわぁ…」なんて、いつもより元気のない声にこっちまで辛くなる。
『ううん、体調どう?』
「朝よりはマシになったかも……」
『なにか食べた?』
「あー…いや、ちょっとしか、」
『これ、適当に色々買ってみたから食べられそうだったら食べてね』
「マジで?Aってばさすが俺の3次元の嫁だねぇ、」
私からスーパーの袋を受け取ると「ありがとね」って笑顔を向ける大ちゃん。
こんな時でさえ、その大好きな笑顔にきゅんとして、滅多にない2人きりの時間を少なからず嬉しく思っちゃう私は、やっぱりこの人が好きで好きで仕方ないみたい。
『大ちゃん、』
「ん?」
『その……お粥とか、作ろうか?』
照に馬鹿にされたけど一応それくらい作れるし、って言えば大ちゃんは可笑しそうに笑って。
「A、いつからそんなに料理出来ないキャラにされちゃったんだろうね?昔食ったAの手料理、めちゃくちゃ美味かったけどなぁ」
『……覚えてたんだ?そんな昔の事』
「にゃは、当たり前でしょ」
大事な思い出だよ、なんて本当ズルい。
「あれマジで美味かったもん」
『……ふふ、そっか。嬉しいな』
まさか覚えてるなんて思ってなかった。
だって何年前?
Snow×Snowが結成されたばっかりの頃、Jr.の番組の企画で作らされたんだよね。
料理苦手なのは本当だけど、あの時作った煮込みハンバーグは翔太が好きでよく作ってたから、味も手際も自信があったっけ。
『……じゃあ久しぶりに食べさせてあげる、私の手料理』
「ふふん、それは光栄だなあ」
じゃあどうぞ、って招き入れられた大ちゃんの部屋、一人で入るのは初めてで。
お粥作ってあげるってただそれだけなのに、扉が閉まった瞬間、やけに速くなる胸の鼓動が煩かった。
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すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» →思います。曖昧なお返事ですみません。コメントとても嬉しかったです! (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» 読んでくださり、またコメントまでありがとうございます。仕事が忙しくなり執筆を一度中断して以来同じように書ける自信がなくずっと更新しないままになっており大変申し訳ないです。続きは書かないと決めた訳では無いので、また更新されていたら読んでいただけたらと (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
ひろかずみつすけ(プロフ) - とっても面白かったです。続編はもう書かれないですか? (2022年11月15日 6時) (レス) id: d2c3399ce2 (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - reeeiiiさん» こんばんは、いつもご覧いただきありがとうございます> <!これからもギュッとしていただけるように頑張ります☆コメントありがとうございました!! (2021年3月5日 23時) (レス) id: adb2c5fada (このIDを非表示/違反報告)
reeeiii(プロフ) - こんばんは。いつも更新楽しみにさせていただいてます!胸がギュッとなってきました!次回更新も楽しみにしてます! (2021年3月5日 21時) (レス) id: f41e0f4c92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すかる | 作成日時:2021年1月22日 21時