Snow×Snow

全部知ってる ページ4

(ryohei side)



「…………なぁ、俺あの頃お前の事すげぇ好きだったよ」

『あはは、なに急に。どうしたの？』

「もう少し、自信持って良いんじゃない？って事」

『…………ありがと』



たまたま同じスタジオで別の雑誌の撮影があったから、帰りに遊びに来てみた翔太の控室。

マネージャーの話ではそろそろ帰ってくるはずなんだけどな、って思ったところにドアの外から聞こえて来た会話は翔太とAのものだった。



『……じゃあお疲れ様』



隣の部屋のドアが開く音がしてからほんの3秒くらい。

翔太の溜息と共に開いたこの部屋のドアに、俺はビクッとしつつも平静を装った。



「えっ、阿部ちゃん…！？」

「あ、翔太お疲れ様」

「え、なんでいんの…？」

「同じスタジオだったから遊びに来てみたんだけど……まずかった？」



俺を見て明らかに動揺してる翔太は、きっとさっきの会話を聞かれてたかどうか気にしてるんだろうな。



「あー…その、今までAと一緒だったよ」

「あっ、そうだよね。今日2人で撮影だったもんね。……俺も会いたかったなあA」

「帰り声掛けてけば？」

「うん、そうしようかな」



……これ、いけてる……よね？

聞かれてなかったって判断したのか普通に話し出した翔太に、俺もホッと胸を撫で下ろす。




でもね、翔太。
仮にさっきの会話を聞いていなかったとしても、俺は全部知ってるんだよ。



翔太とAが昔付き合っていた事も、

Aが今佐久間を好きな事も、

佐久間が由菜を好きな事も、

由菜が翔太を好きな事も、ね。



……で、そんな俺がAを好きな事は、
翔太、気付いているのかな？



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