雨と優しさと ページ26
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「……あ、」
『……雨?』
暫く歩いたところで、頬が濡れた気がして空を見上げれば、ポツリポツリと降り出した雨。
『通り雨かなあ、』
「おい待て、結構降って来てんじゃん」
速いスピードで強まる雨に、慌てて軒下を探したけれど見つけた頃には2人共びしょ濡れで。
「フハッ、マジか、この短時間でこんな濡れる?」
『あはは、翔太髪ぺったんこ』
「うるせぇ見んな。てか傘持ってねーとか女子力低すぎんだろ、」
『はあ?うるさ!予報晴れだったもん!』
「ほんとに予報見たんだか」
やいやい言い合いつつも、あっという間にシャワー浴びた後みたいになっちゃったお互いの姿に2人で爆笑して。
傘買うのにコンビニ探す?って聞いたけど、もう今更だろってタクシー拾った翔太。
濡れたまま乗るのは申し訳なかったけど、ハンカチで軽く水滴を払って翔太と2人でそれに乗り込んだ。
「××まで、」って翔太が自宅であろう行き先を告げて走りだしたタクシーの中。
そういえば翔太の家、引っ越してから行ったことなかったなあ、なんてぼんやりと窓の外を眺めていたら「…おい、」って声がして。
「お前大丈夫?寒くない?」
『…ん、大丈夫』
心配そうに私を見た翔太にそう答えたのに、「とりあえず羽織ってろ」って渡された翔太の上着。
だめだよこれ借りたら翔太が寒いじゃん、って断ったら無理矢理頭に被せられた。
「まあそれも濡れてて悪いけど。ないよりマシだろ、多分」
『……ごめんね、ありがとう』
「ん、」
ああ、こういう優しさ好きだったなあって。そう思っちゃう私、だめだな。やっぱり今日は相当弱ってる……。
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暫く走ったところで翔太のマンションに着いて。
これありがとね、って上着返して見送ろうとしたら、「何言ってんのお前も降りんだよ」って真顔の翔太。
え?………………え?
『……は?』
「は?じゃねぇよ、お前んちここから距離あんだろ」
『いやそうだけど…』
「このまま乗ってたら風邪引くだろうが」
とりあえず着替え貸すから寄ってけって翔太に腕を引かれて、その剣幕に押されて慌ててタクシーを降りれば、そのままあっという間に翔太の部屋に押し込まれた……。
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すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» →思います。曖昧なお返事ですみません。コメントとても嬉しかったです! (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» 読んでくださり、またコメントまでありがとうございます。仕事が忙しくなり執筆を一度中断して以来同じように書ける自信がなくずっと更新しないままになっており大変申し訳ないです。続きは書かないと決めた訳では無いので、また更新されていたら読んでいただけたらと (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
ひろかずみつすけ(プロフ) - とっても面白かったです。続編はもう書かれないですか? (2022年11月15日 6時) (レス) id: d2c3399ce2 (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - reeeiiiさん» こんばんは、いつもご覧いただきありがとうございます> <!これからもギュッとしていただけるように頑張ります☆コメントありがとうございました!! (2021年3月5日 23時) (レス) id: adb2c5fada (このIDを非表示/違反報告)
reeeiii(プロフ) - こんばんは。いつも更新楽しみにさせていただいてます!胸がギュッとなってきました!次回更新も楽しみにしてます! (2021年3月5日 21時) (レス) id: f41e0f4c92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すかる | 作成日時:2021年1月22日 21時