Snow×Snow

何も知らなくていい ページ14

(hikaru side)



「あれ、A何してんの？」

『あ、照…』



レッスン室の近くを通ったら、扉の外から中の様子をチラリと見ている人物がいて。

コートに伊達メガネって私服姿も可愛いその人物は、俺らの大切な女性メンバーであるAだった。



……そういや、初めてSnowManから派生させたグループを組むって言われた時は、マジでびっくりしたんだよな。

事務所が女性アイドルを採用し始めてから少しずつ男女混合のグループが増えてはいたけど、まさか俺達のところにもその話が来るなんてさ。

最初はソワソワして、4人の事が心配で行ける限り練習を観に行ったりしていたけど……
でも、6人の初めてのステージ本番、完成されたそのパフォーマンスを観た時、圧倒されて”ああ、何の心配もいらなかったんだな“って思ったっけ。

俺、翔太の声が女の人の声とあんなに合うなんて思ってなかったもんね。
……まあ、Aとだからあの綺麗なユニゾンが生まれるんだろうけど。



「久しぶりじゃん。何見てんの？」

『いや、あの2人が一緒に練習してるの珍しいなと思って』

「だれ？」



Aと場所を代わって覗いたレッスン室の中にいたのは翔太と由菜で。

あー確かに珍しい組み合わせかも、なんて思った。
だって翔太の隣にいるのはだいたいAだもんな。



「彼氏取られてるけどいいの？」

『彼氏じゃないって言ってるでしょ』

「はは、俺はお似合いだと思うけどね」



俺の言葉に迷惑そうに俺を見るAだけど、Snow×Snowが誕生した頃に比べたらお前ら本当にいい雰囲気になったと思うんだけどな。

あの頃、まだ打ち解けられなかったのかなんなのか、シンメなのにコイツらの間に流れる空気が気まずすぎて。
メンバー外の俺まで心配だったっけ。


……まあ、メンバー間の恋愛事情なんて、知ったらギクシャクしそうだから俺は知らないままでいいけど。



『……ねぇ照、』

「ん？」

『……由菜って彼氏いるのかな』

「ふはっ、知らねーよ(笑)お前が知らないのに俺が知るわけねぇだろ」

『はは、そうだよね…』

「ってかお前らあんな仲良いのにそういう話しないんだ？」

『ん、なんか恋バナってしづらくて……』



ほとんどした事ないな、って零したAはちょっと寂しそうに見えて。


やっぱ恋愛事情には首突っ込まないでおこうって思った俺の予想を遥か上回るくらいみんなの気持ちが複雑に交差していた事を、この時の俺はまだ知らなかった。



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