超えられない存在2 ページ13
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「どこからやりたい?」
『、じゃあBメロの頭から…』
「おっけー、音かけるよ」
……でも、翔太の隣にはいつもAがいて。
……ううん、それだけじゃないね。
少なくとも私の目には、翔太の中にもいつだってAがいるように見えて。
「そこ、多分もう少し足後ろ」
『ん、』
「そう、多分その辺だと佐久間行きやすいと思う」
『分かった…』
今こうして鏡に映る私達の姿も、翔太の隣にいるのが私だとなんだか違う気がしちゃうなんて。
超えられないのを分かっていながら、いつだってAと比べちゃう自分が嫌だった。
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「由菜、」
『…え?』
「ちょっと休む?お前もう結構疲れてんだろ」
『…っ、』
翔太の口からたまにしか出ない自分の下の名前と、心配そうに私の顔を覗き込んだその優しい顔に反射的に赤くなった私の気持ち、翔太は気付いているのかな?
「詰め込みすぎもよくねーし、今日はもう終われば?」
『……うん、付き合ってくれてありがとう』
「さっきのとこ、Aに聞くといいよ。アイツそこ上手いから」
…………ううん、気付かなくていい。
むしろこんな気持ち、消えて無くなってしまえば楽なのに。
『……うん、そうするね』
「ん。…じゃ、あんま無理すんなよ」
「お疲れ」って私の頭を軽く撫でてレッスン室を出て行った翔太の背中を見送りながら、私は苦しくなる胸に気付かないフリをした。
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すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» →思います。曖昧なお返事ですみません。コメントとても嬉しかったです! (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» 読んでくださり、またコメントまでありがとうございます。仕事が忙しくなり執筆を一度中断して以来同じように書ける自信がなくずっと更新しないままになっており大変申し訳ないです。続きは書かないと決めた訳では無いので、また更新されていたら読んでいただけたらと (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
ひろかずみつすけ(プロフ) - とっても面白かったです。続編はもう書かれないですか? (2022年11月15日 6時) (レス) id: d2c3399ce2 (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - reeeiiiさん» こんばんは、いつもご覧いただきありがとうございます> <!これからもギュッとしていただけるように頑張ります☆コメントありがとうございました!! (2021年3月5日 23時) (レス) id: adb2c5fada (このIDを非表示/違反報告)
reeeiii(プロフ) - こんばんは。いつも更新楽しみにさせていただいてます!胸がギュッとなってきました!次回更新も楽しみにしてます! (2021年3月5日 21時) (レス) id: f41e0f4c92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すかる | 作成日時:2021年1月22日 21時