溜息 Part11

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「タイガーはあの生き方を選ぶ他なかったのじゃもん…」

「……A？そこに居るの？」


気配に気づいたオトヒメはネプチューンと共に扉の方を向く

すると眉尻を下げたAが少しだけ顔を出した


『……本当に…もう会えないのですか？』

「あぁ、A。こちらにいらっしゃい」


Aはしゃがんだオトヒメの腕の中に収まる


『タイガーさんは人間に…』

「…拒否をしたのは彼の選択でした。貴女も気付いていたでしょう？彼の心の叫びを」


オトヒメの言葉に何度も頷いた


『…ママに人間を恨むなと言われました。でも人間は僕から大切なものを奪っていく』

「A、セレーナの言う通りです。恨みは争いしか産みません。私達は…」


そこでAは彼女の人間達への想いを理解した


『！』

ドンっ


人間と共存すると言う彼女の想いに恐怖を感じ、腕の中から抜け出す


「…A？」

「どうしたんじゃもん？」


不安そうに見つめるネプチューンとオトヒメ


『貴女が…怖い…ッ』

「…ッ」

『海の上に行ったって人間に捕まって水槽に入れられるだけだ！僕みたいに海を知らない魚人が増えるだけだ！』


初めて見せる苦しそうな表情

オトヒメの中に流れ込んできた小さな子供の辛い過去

想像に耐え難い過去にオトヒメは崩れ落ち、涙を流す


「オトヒメっ！」


Aの声に4人の子供達が部屋へと入ってくる


「お母様！どうされたのですか！？」

「お母様泣かないで〜」

「どうして泣いてるの？？」

「お母様？大丈夫？」


オトヒメの周りに集まる家族達

そんな彼等に母やタイガー達を思い出し、更に苦しくなる



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