無きにしも非ず -JN-【BTS】

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アパートに着くとソクジン先輩は私の手を握って歩きだした


「あの…」


『泊まるって言ったら泊まるの！』


「はい…」


別に悪い事なんて何もしていないのに


なんでこんなに機嫌伺うような事をしてるのか


自分でもよく分からないけど


先輩はさっきからずっと真顔だ


「着替えが…ないんですけど…」


『大丈夫、持ってきてたから』


「へ？」


先輩は家に入るなりそのまま浴室に行ってしまった


私の…家なのに…


全然落ち着かない！


しばらくするとシャワーまで済ませた先輩がスーツを持って出てきた


『ごめん、ハンガー借りていい？』


「はい」


先輩はスーツを掛けると髪の毛を拭きながらソファーに座る


『もともと今日泊まりにくるつもりだったから』


「あぁ…」


だから着替え持ってきてたんだ


って素直に思っていると


『Aちゃん、俺の彼女になってくれないの？俺すっごい馬鹿みたいな事してる？』


タオルをテーブルに置いた先輩は立ち尽くす私を見上げてきた


「なんで…私なんでしょうか…」


『そんなの、俺がAちゃんを欲しくなったんだから仕方ないよ』


ものすごくストレートに言われて、恥ずかしくて仕方ない


「私…面白くないですよ？可愛げもないし…先輩が望む彼女にはなれないと思います」


『それでも！俺はAちゃんが欲しい、独占したくてたまらない』


きっと何を言っても納得してくれない


そう思ってしまえば…降参するしかない


『Aちゃん、俺をAちゃんの彼氏にしてよ』


「分かりました、先輩の彼女になります」


目力に負けたのか？口に負けたのか？


そんなの全部分からないけど


私の恋愛史上稀に見る程のイケメン彼氏を


今しがたゲットしてしまいました





お互い無言のまま1時間程度過ぎた時


「先輩…何か…飲みますか？」


耐えられなくなって冷蔵庫からビールを出していると


「…へ」


ｺﾞﾝｯ


後ろから抱きしめられて、思わず落としてしまった


『ごめん、こんな…強引にするつもりなかったんだ』


「大丈夫ですよ？」


『少しずつでいいから、Aちゃんが好きになってくれるの待って彼氏する』


先輩の言葉に思わず笑ってしまい


『え？なんで？なんで笑うの？』


私から離れた先輩はワタワタしている


「待つけど彼氏の座は譲らないんですね」


『だって…取られたくないから』


可愛い…なんて年上の人に言うのは失礼かもしれないが


可愛いと思った




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