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買い物も済ませて紫耀くんの指定した時間に正面入口に向かえば、
「Aちゃん、こっち!」
大雨の中窓を半分だけ開けてわたしを呼ぶ彼の姿があった。
『ごめん、待たせちゃったよね…』
紫耀くんがここでわたしを待っていたのは確かでその気遣いに感謝をしてそう言えば、
「ん?今ついたとこ!」
そんな在り来りなセリフを返される。
彼は不思議だ。
ほんとに今着いたのかもしれない、と思わせられてしまうから。
そんなわけがないのに。
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____ガチャ
わたしが運転席の紫耀くんに窓越しに話していれば、扉を開けて外に出てくる紫耀くん。
「ん、貸して」
『えっ、大丈夫!紫耀くん濡れちゃうから!』
傘もささずになんの躊躇いもなく車を降りて、わたしの手から荷物を取って後部座席に詰め込んだ。
「これくらい平気だよ、ん、Aちゃんはこっち」
ほんとに風邪でもひかれたら困るのに、助手席側に回ったかと思えば扉を開けて待っていてくれる。
わたしがここでうずうずしてこれ以上彼を雨で濡らすわけにはいかなくて、開けられた助手席に乗り込んだ。
『ありがと、』
「いいえ、」
パタンと閉められた扉の音を聞いていればすぐに反対側の扉が開いて、少し濡れた髪をかきあげながら紫耀くんが乗り込んだ。
『こんなんしかないけど、使って?』
カバンの中に入っていたタオルを差し出すけれど、なかなか受取ってはくれない紫耀くん。
『使ってないから!未使用!』
「ふはっ!そんな事思ってないよ。使ったら濡らしちゃうと思って、借りるねありがと。」
彼が雨に濡れたのは少なくともわたしのせいなのに、ありがとうと言ってくれたことが素直に嬉しかった。
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みゅう(プロフ) - 最高です泣いちゃいました(TT)本当に恋してるとき胸がギュゥってするやつになってやばいです(TT) (2019年2月11日 23時) (レス) id: e5fba142e0 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 読ませていただきました(^^)心が暖かくなる素敵なお話でした!ありがとうございます! (2019年1月18日 19時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
べりーちゃん - 素晴らし作品でした。ありがとうございました。 (2018年11月3日 8時) (レス) id: 86a2f67dc6 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - ひかるさん» 読んでいただきありがとうございます!廉くんのお話公開中ですのでよろしければぜひ! (2018年10月28日 0時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - Mt.Wind Bellさん» ぞっこんになっていただけて嬉しいです( ; ; )またはちみつショコラの世界でお会い出来るように、機会があれば番外編などお届けできればなと思っております! (2018年10月28日 0時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2018年9月24日 17時