サラダにトマトを添えて (ページ4)

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□私を攫った王子様＃4 ページ4

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『いってぇ……』

「こんな奴で良ければ持ってってください！」

『私は物か！！』

「ん、そのつもり」

『はい？！』

背中をぐいっと押され、先輩との距離が近くなる。近くで見ると余計に綺麗な顔が視界に入る。何この人、なにをしたらそんな綺麗な顔になるわけ？

生憎だが、私はこの女子の大群を通り抜けてゴールする勇気は持ち合わせていない。なんなら既に関わりたくない。だって女の子怖いじゃん！！！

ほらそこで睨んでる清楚な子！！代わるからこっちカモン！！！

『私行くって言ってないんですけど……』

「キミじゃなきゃダメなの」

『えぇ……』

なんだろう、偏見だけど色んな女の子に言ってそうだなこういうセリフ。なーんか胡散臭いなぁとは思うが、先輩だし強く言えない。

なんなら親友に代わってもらおうかな、と考えていた時、先輩はまた口を開いた。

「一緒に行ってくれたら、パン買ってあげる」

『マジすか今すぐ行きましょう』

「ちょっろ」

『うるさい』

年中金欠だから、食費を少しでも浮くこのチャンスを逃したくない。女子からの視線？知らんパンの方が大事。

親友にはありえねぇコイツみたいな顔をされたが、私でも単純だとは思う。でもパン食べたいんだから仕方ないじゃないか。

「じゃ、いこっか」

クスクス笑っている先輩は私の手を握って、足を踏み出した。

先輩は親友の言っていたとおり、運動は苦手なよう。走るスピードはそんなに速くない。私としては、やるなら一位をとりたい。そういえば、アンタは負けず嫌いだよねって親友に言われたこともあったっけ。

『先輩、ごめんなさい！』

「え？ちょっ、」

だから、負けるのはかなり嫌だ。

びっくりした声を出す先輩を無視して、思いっきりゴールまで走り出した。

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