6 ページ7
続いて隣の男に煙草の煙を吹きかけ、
残りに吸いかけの煙草を押し付ける。
「うがッ染みる...ッ」
「やりやがったなクソアマ！！！」
前世はよくあったなぁ、こんなこと。
そんなことを思いながら少年の手を引き
走り出そうとするが、彼は動かなかった。
え。思考が停止する。
「…………。」
「…………。」
「…………。」
A「………………？動かない...？」
そう、男たちは座り込んで動かなくなったのだ。
正確に言えば、'動きたいのに動けない'ようで。
訳が分からない様子で苦痛の表情を浮かべていた。
「……行くぞ。」
A「アッウン。」
今度は手を引かれて歩き出す。
明るい方へ、明るい方へ。
さっきのは彼の個性だろうか。
そういえば原作にいた気がする。
会話をすることによって、
相手を操る個性の少年が_____。
「…………。」
「…………。」
互いに何も話さない。
ただ暗闇の中で私の手を引く彼の背中は、
間違いなく私がずっと恋焦がれて続けてた'それ'で。
つい、零してしまう。
A「……ヒーロー、みたいだ。
ありがとう、助けてくれて。」
「……あっそ。」
少しずつ明るくなる街に、
彼の耳が赤くなっているのが分かる。
それがどうにも可愛くて。
「……お前みたいな女、あんな場所にいれば
狙われるに決まってる。
煙草吸うならもっとマシなとこ探せよ。」
A「はは...ごめんね。どうも人目が気になって。
私もあんな目に遭うのは御免だし、
今度はもっといい場所を探すよ。」
あと少し、角を曲がれば大通りに出る。
繋がれた温度が離れてしまうのが、
ほんの少しだけ惜しくて。
他愛のない言葉を続ける。
「いつもこの時間にあの場所にいんのか？」
A「？...うん、週末だけだけど。平日は学校だし。」
「！？お前学生かよ...」
しまった。バレたら退学待ったナシだ。
そう思った瞬間、視界が一気に眩しくなる。
手が振りほどかれた。
彼を照らし出すネオンライト。
振り向いてこちらを見るアメジスト。
「...また会ったら、そん時は一緒にいてやるよ。」
笑ったその顔がとても綺麗で。
見惚れてしまったんだ。
嗚呼、今日君と出逢えてよかった。
もう二度と会うことはないだろうけど。
だって、ねぇ、君を汚してしまうようで、
私には無理だよ。
A「っ、うん……！」
_________ねぇ、心操人使くん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 234人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
！！！(プロフ) - 無山さん» ええ、とても素敵な言葉ですね…！教えていただきありがとうございます(><)夢主ちゃんには幸せになって欲しいですよね… (2022年10月4日 11時) (
レス) @page21 id: c955538e13 (このIDを非表示/違反報告)
無山(プロフ) - 本当に最高です。「ヒーローは世界を救うために君を犠牲にするがヴィランは君を救うために世界を犠牲にする」僕が何かで見聞きした言葉で一番好きな言葉です！夢主ちゃんはヴィラン側で幸せになって欲しいです♡ (2022年10月3日 21時) (レス) @page24 id: da890bbd5a (このIDを非表示/違反報告)
！！！(プロフ) - 無山さん» ありがとうございます！漫画読んでて、絶対一定数こういう奴らいるよなって思って書いていたので楽しんで頂けて嬉しいです！ (2022年10月3日 21時) (レス) @page23 id: c955538e13 (このIDを非表示/違反報告)
無山(プロフ) - 好きです。個性を持っていても他人をいじめる奴らがヒーローになんざなれるわけない。いいですよねぇ自分が馬鹿にしてたものに負ける時の表情！創造だけでも気分が高まる。さいっこうに好きです! (2022年10月3日 18時) (レス) @page21 id: da890bbd5a (このIDを非表示/違反報告)
！！！(プロフ) - 暖かいお言葉ありがとうございます；；6期アツいですよねぇ！！これからもよろしくお願いします！ (2022年10月3日 10時) (レス) @page20 id: c955538e13 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：！！！
| 作成日時：2022年10月1日 18時
