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「もう…ウタってば……」
ウタの後を追いかけて行く
“なんでこんなに聞き分けが出来ないの?ウタは”
あっと頭を横に振る
まただ。だめだめ。こんなこと考えちゃダメだ
ウタを追いかけながら出てきたまた”黒いの“
急いでそれを振り払い、やっとの思いで追いついた
けれど追いついた時にはもう遅く。シャンクスの部屋の扉は空いていた
ああ…またウタは…
「シャンクス…?」
部屋を覗き込めば、ウタが横になりながら唸っているシャンクスの頭をペシペシしていた
ちょっとその光景が面白くてつい笑ってしまう
「う゛…ウタかぁ……」
「見て!シャンクス!」
シャンクスはブルーな顔をベッドから覗かせながらウタを見る
「可愛い?シャンクス?」
「!…おう!可愛いじゃねえか!」
さっきまでのグロッキーはどこへやら
シャンクスはウタのワンピース姿を見てベッドから思い切り起き上がる
そしてウタの頭をわしゃわしゃと撫でた
「可愛いな!とても似合ってるぞ!」
「ありがとうシャンクス!ねえねえ、さっきララに入っちゃダメって言われたの」
「ん?別にお前なら入ってきても全然構わないぞ?」
「ほんと!?良かったぁ!」
「……え……………」
なんで
”お前なら“って、なに?
”お前らなら“ではなく、シャンクスが言ったのは“お前なら”
ウタは、良いの?
どうして?
チクチクチクチクとまた痛くなる
なんだろうこれ。嫌だな。嫌だな
それに。そのワンピースは本当なら私が着てたものなのに
どうして?
私が欲しいと思った物を身につけて、ウタはシャンクスに褒められている
愛されている。可愛がられている
何がいけないのかな
私とウタは何が違うのかな?
私だってシャンクスの娘なのに。私の方が早く居たのに
どうして?
じわりと目頭が熱くなった
ぎゅっと目を瞑り、踵を返してその場を離れた
ダメだよ。ネガティブに考えちゃダメ
シャンクスは小さいウタを優先してあげただけ
ただそれだけだよ。私の時だってああやって甘やかしてくれた
ウタがもっと大きくなればきっとまた前と同じような日常に戻れる
私が我慢すればいい
そう。だって
私は“おねえちゃん”だから
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