#47 ページ47
「ウタちゃん！ぜひ私の歌を！」
「その次はぜひ僕たちの歌を！」
「みんな、順番に歌うわね！」
「歌姫は引っ張りだこだなぁ！」
「そのようだな！」
ぜひ歌を歌って欲しいとウタに声をかける国中の人々
ウタは嬉しそうに彼らの歌を順番に歌っていた
「…ララがいないな……」
辺りを見渡すが。ララの姿は無い
「お頭の作戦も失敗だなぁ」
「全くだぜ。しかも出航前にあんなことしちまったらなぁ」
「うぐっ…」
耳が痛いとはこの事だな
ルゥやライム達にはやれやれと笑われちまう
エレジアに来れば
ララ……お前が少しでも“好きな歌”を歌いたいと思えるんじゃないかと
また。前のように歌うんじゃないかと
思ったんだ。だが
「…ララの事だ。ウタがいるから、敢えて離れたんだろう」
ベックの言う通りだろうな
…俺はまた。失敗してしまったようだ
「ハァ…ハァ……っ！」
長い廊下を延々と走り続ける
なんで。なんでこんなに長いの
早く。早く着いて
何故かは分からない。自分でも分からない
ただ。この悪寒と嫌な予感
そして
“足の下”から感じるただならぬ嫌な気配は
背筋をぞくりとさせて気持ち悪いと感じる
感じざるを得なかった
そして頭に響く
この音はなに……!?
走り続けてやっとの思いでホールの大きい扉の前に着いた
ホールの扉を開け、私は人混みの中に飛び込んだ
何人かの人に体がぶつかる
けどそんなことも気にする余裕なんてない
ただひたすら彼らの姿を探す
どこ!?
どこ!?
どこにいるの!?
「っ…！？」
誰かの靴に躓き転倒した
「大丈夫かい!?」
「お怪我は…!?」
声をかけてくれる人達に返す言葉の余裕さえない
中央のステージにいる彼らを視界に捉え、走り急ぐ
「っ…あ……ッ!?」
耳鳴りのような何かが響き、頭が痛くなる
これは…なに……
中央ステージにはウタがいる
ウタは“何か”を手にしていた
「…ぁ…………」
まって
「…だ、だめ……」
聞こえる
「ウタ！！！！！！」
それを歌っては＿＿＿＿＿
その“楽譜”を手にしたウタは。詞を奏でた
その瞬間
大きな爆発音と共に
私の意識は暗闇へ吸い込まれた
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