おねえちゃんだから. (ページ43)

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#43 ページ43

酒場から少し離れた、小高い丘がある場所に移動した

「……話って?」

「ああ。昨日のことなんだが」

「………………」

「……悪かった。ララ。何も聞かずにお前に声を荒らげて」

「…………………」

「ウタから聞いた。お前が遅くまで戻ってこないから心配になり、ルフィに当たってしまったと」

「だから。悪気があった訳じゃないんだ」

「俺からも言い聞かせておいた。だから」

だから

「だから。許してやってくれないか」

「………………………」

シャンクスは困った優しい笑みを浮かべながら私の目を見つめてきた

…ああ。そうだったね……

私はいつもこの“優しい目”に怒れなくて。責めれなくて

言葉を呑み込んだんだ

でも。今は

「謝る相手が違うんじゃないかな」

謝るべきは

「ルフィくんに謝るべきじゃないの?」

そう言うとシャンクスはちょっと驚いた顔をした

いつもの私は『いいよ』と言うから

意外だった？

もう私は『優しいおねえちゃん』で居たくないの

『聞き分けの良い娘』は辞めたいの

「勿論だ。ウタに必ず謝らせる。約束だ」

シャンクスは小指を差し出す

“指切りげんまん”

私との約束を守れたこと。あったの?シャンクス

私は小指を差し出す

シャンクスは私の小指に自分の小指を絡ませる

でも

「シャンクス」

「ん…?」

「約束して」

絶対に

「必ずウタが謝るって」

約束を守らせて

シャンクスの瞳を見つめた

心から願った。私の事よりも

ちゃんとウタが謝ることを

傷つけたことを認めることを

“私のため”の願いは神様は叶えてくれない

ならばせめて。誰かの為のお願いなら

聞き入れてちょうだい

シャンクスは私の目をじっと見つめて

「もちろんだ」

指切りげんまんをした

その後。シャンクスは私の頭を撫でた

「ありがとう。ララ」

そう言って。酒場に戻ろうと背を向けて先に歩き始めた

「……………………」

自然と手を伸ばして撫でられた頭を触っていた

いつぶりなのかは分からない。シャンクスに頭を撫でられたのは

もうきっと。最後に撫でられたのは＿＿＿＿＿＿

「……………………」

分からない、や…

私も酒場に戻り。マキノさんの手伝いをした

私がもう怒ってないことに安堵したのか、ヤソップさんやルゥさんが物凄く心配してきた

…久しぶりに彼らにかけた迷惑は案外悪いものでもないなと思ってしまった