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自室に戻り、ベッドの上に座った
部屋全体を見渡せば、シャンクスがくれたものが沢山ある
こうして見れば、私もこんなにシャンクスに色々と貰っていたんだなと実感した
でも。いつからかな
いつからか、“欲しいとは思ってない”ものが自分の物になっていった
___ウタ、赤い方がいい
___いいよ
___ウタ、フリフリの方がいい
___いいよ
___ウタ、そっちのイチゴケーキがいい
___いいよ
『いいよ、いいよ、いいよ、いいよ、いいよ』
「………いいよ…」
何度口にしたか覚えていない“いいよ”
いいよと口にするのが当たり前になっているような気がした
何が“良いよ”なんだろう
全然良くないのに
『我慢せずにちゃんと言うんだぞ?』
シャンクスも前に言ってくれた
けれど今はそんな事、言ってくれなくなった
『悪いがララ…半分こでもいいか?』
『悪いララ!交換してやってくれ!』
何もかもがウタ中心の日々になっていった
ウタが『あれほしい』『これほしい』と言えば与えられた
何でも
まるで本当のお姫様のように
“何でなの?その場所は私だったのに”
____馬鹿。私
なんて最低なことを考えてるんだ。そんな事思っちゃダメだ
心に浮かんだ黒い靄を晴らす為に、髪に付けている花の髪留めを触った
ダメだ。そんな事思っちゃダメ
私だってみんなにした事だよ
私だってあの頃の時、わがままを言ってみんなを困らせた。そうだ
困らせてた…
深呼吸をして目を閉じる
こんな醜い感情、どこかにいっちゃえ
汚いの汚いの、どこかにとんでいけ
胸に手を当てながら、いつもの様に願った
私は良い子でいたい。優しいおねえちゃんでいたいの
だから。だから
悪い感情、出てこないで
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