#37 ページ37
何を考えてるんだろ、私
ふと過ぎった考え
この子にはこの子の冒険がある。人生がある
私も“一緒に居れたなら”なんて
烏滸がましいだろう
「そろそろ戻ろうか。ルフィくん」
「おう！」
夕日は沈み。徐々に星空に変わり始めていた
私はルフィくんと手を繋ぎながら山を降りた
途中星空を見ながら「あれは〇〇座」と名前をつけたり、星の名前を当てたりしながら
当たり障りのない、特別でもなんでもない時間
ただこうしているだけで“楽しい”と感じれた
だがそんな“一時の癒し”の時間は終わりを迎える
山を降りた途端、ウタがルフィくんに掴みかかってきた
「アンタ！！ララをどこに連れて行ってたのよ！！」
「ど、どこって…俺のお気に入りの場所に…」
「はぁ！？ふざけないでよ！」
「ちょっとウタ…」
ウタがなんでこんなに怒っているのか理解出来なかった
私とルフィくんはただ山に行き、30分くらいあの場所で時間を潰していただけ
別に誰にも迷惑なんてかけてない
ましてや動物や人に襲われたりなんてこともなかった
「私のララに何かあったらどうしてくれるのよ！！」
「………………」
“私の”
その言葉にピタリと動きが止まる
“私の…?”
なに、それ…まるで所有物のように
私はアンタの物になった覚えなんてない
『落ち着いて』
少し苛立ちを覚えたが、直ぐに気持ちを落ち着かせた
大体私が好きでこの子に着いていったのに
なぜそこまでしてウタに怒られなければいけない
私は息抜きも兼ねてルフィくんに着いて行っただけ
四六時中、“お姫様”のお守りをしている私にとっては最高の癒しの時間だった
「ララは友達だぞ！友達と居て何が悪いんだ！」
「アンタとララが？冗談やめてよね」
「友達だ！ララは俺と居て“たのしい”って言ってくれたんだ！」
「はぁ！？」
その瞬間、ウタはルフィくんをドンッと強く突き飛ばした
「ふざけないで！私のララよ！！アンタなんかに渡さないから！」
「い、いてぇ……っ」
突き飛ばされた事でルフィくんは体勢が崩れて転んだ
左膝がじわりと血が少し滲む
「今度ララをこんな時間まで連れ回したら許さないんだから！」
『傷つけたりしたら許さないわよ！』
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