#36 ページ36
君と私だけ。内緒の“約束”
「できる?ルフィくん」
「お、おう！できるぞ！」
「ふふ…でもどうかな〜。ルフィくん言っちゃいそう」
「そ、そんなことねえ！誰にも言わねえ！シャンクスにも！ウタにも！」
「言ったな〜?じゃあ、はい」
私は小指を立ててルフィくんの前に突き出す
ルフィくんは指切りげんまんを知らなかったようで「？」と首を傾げた
「ルフィくん。指切りげんまん、知ってる?」
「ユビキリゲンマン?」
「そう。こうやって、ね」
私はルフィくんの小さな小指に自分の小指を絡ませて
「ゆーびきーりげーんまーん。うーそつーいたーら、はーりせーんぼーんのーます。ゆーびきった」
と小指を揺らして離した
「はりせんぼん！？」
「ふふ。本当には飲まないよ」
大きく口を開けながら驚いた顔でこちらを見るルフィくん
針を千本飲まずに済むと分かるや否や「なんだ、飲まないのか」とホッと胸を撫で下ろしていた
「ふふ…おまじないみたいなものでね。よく、約束する時にやるんだよ」
「へぇ！そうなのか」
「そうだよ」
ゆびきりげんまん
自分の小指を見ながら、昔シャンクスとしたのを思い出した
あの時はどんな約束をしたんだっけ、ね
何度もした約束はウタによって全て破られていったが
シャンクスの口にする『約束』は今じゃ果たされることの無いものだと。私は思っている
何度も聞かされた『また後で』『また明日』『約束する』『絶対だ』
どれも全てウタによって“嘘”に変わっていった
期待しない方が楽だし。今はもう何とも思わないけど
「じゃあ俺とお前は今、約束をしたのか?」
「！…うん。そういう事になるね」
「分かった！男にニゴンはねぇ！約束だ！」
「あはは！どこで覚えたのその言葉…！」
その後。私とルフィくんは陽が沈み切るまで話をしていた
今まで行ってきた島や冒険の話
見たもの。聞いたもの等
ルフィくんは目を輝かせながら、嬉しそうに聞いてくれていた
そんな彼の喜んでくれる顔が嬉しくて、私も延々と話をした
「いいなぁお前！そんな所にも行ったのか！」
「君もいつか行けるよ、ルフィくん」
「おう！俺も絶対に行く！！」
嬉しそうに、無邪気に笑う彼の姿は私の中で、ある思いを抱かせた
『この子は一体、どんな大人になるんだろうな』と
きっと。素敵な仲間に出会い、楽しい冒険をするのだろうなと
ああ。叶うなら
私もその場に居れたなら……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3565人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
