おねえちゃんだから. (ページ32)

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#32 ページ32

着いた場所は山の中に入って暫く進んだ
木々が広がり、景色が見渡せる崖の場所

「わ……すごい………」

その崖の先から見える海は水平線＿＿＿＿

全てが広がっているように見えた

というか

「ルフィくん、よくこんな場所知ってたね？」

「おう！よくじいちゃんに連れてきてもらうんだ！」

「へぇ……え?おじいさんが居るの？」

「いるぞ！修行とか言ってあちこちに突き落とされたり放り出されたりするんだよ！」

「ふぅーん…………んん！？」

ちょっと待って修行ってそんな過酷だっけ？
確かに大変なイメージあるけれど『突き落としたり』『放り出されたり』って……なに……？

考えても恐らく答えが出ないであろうと思い、私はそれ以上深くは詮索しなかった

ルフィくんは崖の地面に生い茂る茂みにゴロンと寝転がった

「はぁ〜……俺も早く海に出てぇなぁ！」

「海に？」

そういえばルフィくんはいつもシャンクスに“俺も連れて行ってくれ！”とお願いをしている

海賊の何がいいのかな

良いことなんて別に何も無いのに

「俺も海賊になって海で冒険するんだ！」

「………」

冒険、か

『俺たちの船に乗って冒険をしないか？ララ』

ふと大昔の事を思い出した

そんな事を言われて私はあの船に乗ったっけ

そうだよ。嬉しかったんだ。あの時は

誰からも見守られず、ただ1人。寂しくて怖かった

だからあの時。何も聞かずに私に手を差し伸べてくれたシャンクスに＿＿＿＿＿

いや。よそう

もう過ぎたことだから

シャンクスだって後悔してるだろう

こんな“忌まわしい”荷物を船に乗せてしまって

ふと視線を海の方へ向ける

陽は徐々に傾き、空を橙に染め始めていた

自然といつもの笑みが浮かぶ

ああ。普通にしようと思ってもこの顔になる

これが“当たり前”になってしまったから

仕方がないんだ。だって選んだ結果なんだ

私が“こう在ろう”としたんだから。今更悔しいも何もないだろう

「…………なぁ」

「ん？」

そこへふと。ルフィくんの声がかかる

「なに？」

「…………お前…」

ルフィくんは眉間にシワを寄せながら、こう言った

「なんでいつも笑ってんだ？」