おねえちゃんだから. (ページ29)

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「負けねぇぞう！今日こそ決着つけてやる！」

「なによ、散々負けてるのはあんたの方でしょ」

歳が近いからか2人とも似たような事を言ったり
2歳年下だというルフィくんはやんちゃ真っ盛りといった感じだった

「勝負もいいけれど、ヒートアップして怪我はしないでね」

「のぞむところだ！」

「負けないわよ！」

聞く耳持たずと言った感じ

まぁ2人で仲良く遊んでくれているし。別にいいか

マキノさんの酒場前のベンチに座りながら2人を遠目に見た

何やら叫びあいながら両腕を振り回してポカポカし始める

もうなにやってんの…

2人を止めようと立とうとした時だった

ふらりと1人の人影＿＿＿＿＿

ああ。行かなくていいかな

シャンクスが2人の頭を軽くコツンと拳でコツいていた
それに対してウタとルフィくんは何か抗議している
恐らく殴られた事への文句

ため息をつきながら私は2人の様子を見た

ただ1つ。予想外なのは

シャンクスが私の方へ歩いてきたこと

「ララ。体調はどうだ？」

「…うん。もう大丈夫だよ」

いつものように愛想笑いを浮かべながら返事をする

シャンクスは「そうか」と言うと私の横に腰掛けた

「……俺が2人を見ておくから、お前も好きに探索してきてもいいんだぞ？」

「別に大丈夫だよ。2人を見てても楽しいし」

「あー…そうか………じゃあ2人はベック達に任せて、雑貨屋に行かないか？」

「…………………」

“雑貨屋”という言葉で察した

シャンクスは私に“何か”をあげたいんだろう

分かりきった理由

今更掘り起こされても正直、不快にしかならない

それにもう私が“諦めたこと”を一々蒸し返さないでほしい

「別に行きたいところもないし。大丈夫だよ」

「けどな、ララ…」

「シャンクス」

シャンクスの申し訳なさそうな声に息が詰まりそうだった

お詫び？謝罪？

そんなものはもう意味を成さない

だから

「大丈夫だよ。もう“あのこと”は気にしてないから、ね」

貼り付けた笑みを浮かべながら私は“大丈夫”と笑って見せた

今更あの“髪飾り”の代わりになるものなんていらない

代わりになるものなんてもう無いのだから

手を伸ばしても届かないものを。これ以上求めようとは思わない

「それに。あの髪飾りは“ウタ”の方が似合うよ」

「!…」

何かを言いたげな顔

シャンクスの瞳に揺れた悲しい色に

少女が気付くことは_____…