#24 ページ24
一つだけ仮説が浮かんだ
だがもしこの考えが正しかった場合、いつからこの痛みと“付き合い始めたのか”
「……ホンゴウ。1度部屋を出るぞ」
ホンゴウを一旦ララから離して甲板に出る
「……とりあえずお前の見立ては?」
「ああ……恐らく、という仮説なんだが……」
「………………やはりな」
ホンゴウの言いずらそうな歯切れの悪い言い方で確信を得た
つまり言葉にしずらい。そういうことだ
いつからかは不明だが、“痛みが伴う時期”をララはもう迎えていたのだ
だが何故言わなかったのか。だが
「……そりゃあ…言い出しずらいよな…」
「…ああ」
うちは女はララとウタだけ。他はむさ苦しい野郎ばっかりだ
いくら家族であっても言い難い事の1つ2つはある
ましてやウタはまだガキだ。誰にも相談出来ずに自分で対処していたんだろう
「とりあえず。痛み止めの薬を飲ませてみる。効いてくれるといいんだがな……」
「ああ。頼む」
ホンゴウは医務室に薬を取りに向かう
俺はそのままララの部屋に行き様子を見ることにした
「………………………」
ララは辛そうに身体を丸めて蹲るように横になっている
相当痛みが酷いんだろう
……こういう時、男ってぇのは無力だ
ましてやその痛みなんぞ一生体験することもねぇんだ
「……バカ野郎…頼れ。俺たちを」
痛みを肩代わりしてやる事は出来ねぇが。それ以外でだったらなんでもやってやる
ベックマンさんに抱き抱えられてベッドに寝かされた
私を気遣ったのかあまり身体が揺れないように運んでくれた
「…………………」
ホンゴウさんとベックマンさんが何か話している
けど聞く気力もない
助けて欲しいという思いと助けられたくなかったという矛盾な思いを抱えながら
私はゆっくりとまぶたを閉じる
ホンゴウは薬を持ってくるとララに飲ませた
ララは辛そうに起き上がりながら何とか薬を飲んだ
「ララ。ゆっくり休め」
「………ありがとう……」
一瞬だけ目を細めながら笑みを浮かべるとララはまた目を閉じる
このまま眠らせてやった方がいいだろう
俺とホンゴウは再び部屋を出た
「……なぁ。ベックマン」
「…なんだ?」
「…ララは……ずっと耐えていたんだろうな…」
「…そうだな」
我慢強いアイツの事だ。“自分のことは自分で”となったのかもしれねぇ
ましてやいつも“ウタの傍”に居てくれている
「…ホンゴウ。お頭や他の奴らには言うなよ」
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