#23 ページ23
「おい！ララ！！」
「………………」
重たい瞼をうっすらと開ける
私の瞳に映ったのは。ベックマンさんだった
店内を見渡し時。ララの姿が無かった
ウタだけがお頭のところに来ていつもの様に甘え始めた
ララはどうしたんだ…?
ウタに聞くと「お頭の傍にいてほしい」と言われたらしく
ウタはそれに従いお頭のところに来ただけだった
ララの事だ。何か理由があって席を外したんだろうが……
理由は分からないが何故か妙なざわつきを胸に感じた
アイツは今何をしているんだ?
俺はお頭に軽く一言残して酒場の外を出た
酒場を少し歩いた先
そこに“倒れていた”
「おい、ララ！どうした…！？」
駆けつけるとララは顔面蒼白で意識も朦朧としていた
いつの間にこんなに体調を崩していた…?
いやそんな事よりも先にララをどうにかしなきゃいけねぇ…
ララを抱え、俺は酒場に向かおうとした
だがその瞬間に。強い力で服が握られた
「お、ねが…い……いわ、ないで………っ」
「何言ってるんだお前！こんな状態で……」
「いい、から！！…いわない、で……いわないで、よ……ベックマン、さ…ん……っ」
悲痛ともとれるその声は震えていた
「…………わかった。だが俺は船医じゃねえ。ホンゴウだけは呼ぶぞ。そこは融通をきかせろよ?」
「……それ、でいい…です……あり、がと……う……」
弱々しく答えた後、ゆっくりと瞼を閉じるララ
服を握る手もゆっくりと離された
一先ず船に戻って寝かせるしかねぇ
俺はなるべく振動がララに伝わらぬように急ぎ足で船に向かい、部屋のベッドに寝かせた
その足で直ぐに酒場に向かい、ホンゴウに声をかけた
「おいホンゴウ。ちょいと面貸せ」
「俺!?なんだよ突然……」
「いいから早く来い！！」
「うお!?わ、分かったよ……」
鈍いホンゴウに多少イラついて当たっちまった。許せ
俺はホンゴウを連れて船に戻り、大まかな説明をしてララの様子を診せた
「こりゃあ………随分と顔色が悪いな…何でこんなになるまで…」
「……………仕切りに腹を抑えてる」
「ああ……少し触るぞララ」
ホンゴウはララの腹部を触る
触るぐらいならあまり痛がってはいないが、押されると酷く唸った
こいつぁ………まさか。そういうことか…?
俺の中でひとつの仮説が浮かんだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3565人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
