シルエット４

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赤side


夕暮れの迫る鋪道。

謝恩会に迎えに行った帰り道。


夕陽に染まる、ともと並んで、自転車押して歩く。


袴姿のともは、
想像超えて可愛えくて。


にやけが止まれへん。


今日で俺らは大学を卒業した。

いきなり、世間から、

もう大人やからなって言われてるようやけど。


中身なんか、
高校生やったあの頃と、
大して変わってへんのにな。


ともり始めた街の灯りに照らされて、
細長く浮かぶ、ふたつの影。


このまま、ずっとずっと並んで歩いて行けたらな、

そんな未来のこと、考えてる。


レンタル衣裳屋はすぐそこ。


けどまだ、とものこの晴れ姿を見つめてたくて。


「とも、遠回りしよっか」


つい言うてた。


ママチャリの後ろに、
ともを乗っけて、
春めき出した街を通り抜けてく。


「とも、坂道やで！
しっかりつかまっとき！」


「うん！
うわ。風くる！気持ちええっ！」


長い長い下り坂。

二人して、子供みたいに歓声あげてはしゃいでる。


急カーブを曲がって、
下り切った先。


川沿いの桜の下で、自転車停めた。


「まだ蕾やけど、綺麗やなあ」


ともが膨らみ始めた薄紅色の桜に手を伸ばした。


その仕草も表情も、あんまりに綺麗で。


急いで、携帯のカメラ向ける。


カシャって音に、ともが振り返って、


「あ！勝手に撮らんとってや！」


膨れたその顔も、また一枚。


「大毅だけずるい！
俺も撮りたいのに」


「俺はええって」


「あかん。
なあ、大毅・・・」


ともが恥ずかしそうに、もじもじしてる。


「ん？」


「一緒に撮りたい。
あかん？」


「ええに決まってるやん。
そういや二人きりの写真ないやん！
いつも誰か一緒やんな」


「今、気付いたん？」


とも、呆れた顔してるねん。


「とも、写真撮りたかったなら言えばええのに」


「恥ずいねんっ。
分かれっ」


「ともはほんまシャイやなあ」


俺にはよう分からへんポイントで照れるからな。

変化球のきゅんが襲ってくるねん。


なるべく腕伸ばして、
携帯構えて。


シャッター音鳴らすと直前に、
ともの肩を抱いた。


確認したら、
写真の中のとも、
びっくり顔の、真っ赤っかやねん。

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