シルエット

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重岡って、笑うと、目の下に片方、窪みが出来るねん。


それ見つけると、きゅんてなる。

なんなら、見たいから、
笑ってくれへんかな、思たり。

男相手に、俺はあほか。


「巨峰？」


「ううん。
これはピオーネっていうねん。
まだちょっと早いけど。
あ、これはいけるはず」


葡萄だなからひとつ、もぎ取って。

俺に一粒、差し出してくる。


めちゃくちゃ高そうやねんけど、
ほんまに、ええんかな。


「神ちゃん、はよ。食べてみて」


「う、うん・・・」


口ん中に放り込む。


瞬間広がった、
あんまりの甘さと美味さに、
思わず。


「めっちゃ美味しい。
なん、これ！」


でかい声あげてもうた。


「やろ？
俺からの誕生日プレゼントやからな」


なんか、そこ、何回もアピってくるよな。


「ありがとう」


礼を言えって事かな思てんけど。


そういうんでもないみたいで。


「どういたしまして」


そう答えた重岡、
照れて真っ赤っかやねん。


また、可愛ええなって、思ってる。


俺、ほんま、どないしたんやろ。


こんなとこ、
卒業したら、
さっさと出てくつもりやしさ。

どうせ排他的な田舎町で、
産廃施設の管理者の息子なんか、
受け入れてもらえるわけもないし。

誰にも心許すつもりも、
まして友達なんか作るつもり無かったのに。


重岡とおると、楽しいな、って。

感じ始めてる。


初対面で、
どう考えても気ぃ合いそうもない、

おまけに、
こんなウザい性格のヤツやのに。


俺、ほんま、おかしいよな・・・

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