シルエット

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「ごめん・・・」


それしか、言葉浮かべへん。


ともと、
真琴とは仲良くせえへん約束したのに。


「私、待ってるから。
大ちゃんが振り向いてくれるん」


結局、最後まで分かってもらわれへんかった・・・









時間は刻々と流れていく。


１２月に入ってすぐ、
先月受けた模擬試験の結果が返ってきた。


必死で頑張ったおかげで、
思てたより、ずっとええ成績やってん。


「やっぱ、大毅、頭ええなあ。
尊敬や！カッコええな！」


ともが手放しで褒めてくれて、
嬉しかったけど。


おとんは、

A判定の文字を目の当たりにして。

わなわな震えてた。


「あかん。
国立大しか認めへん。
うちは神山さんとこみたいに、
金が有り余ってるわけちゃうねん」


急に条件変更されてもうた。


神戸で一番賢い私立大がA判定やったら、
受けさせてくれるって約束したくせに。


おとん、男に二言はない、いつも言うてるくせに。

嘘ばっかりや。


流星に教えてもらった、

神大も志望に書いてみたけど、

C判定やった。


やっぱり厳しいんやなって思ったけど、

まだ２年やし、

本気で取り組めば、受かる可能性あると思うねん。


「とも、大人ってほんま、ずるいよな」


「うん。
俺ら、大人の都合で振り回されてばっかりや」


ともと俺の意見はことごとく、合う。


今、実は修学旅行中やねん。


京都の宿、
敷かれた布団の中に潜り込んで、
ひそひそ話してる。


５人部屋やけど、

他のヤツらは、
女子の部屋に襲撃に行ったから、

思う存分、二人きりでおれる。


「とも。
俺、頑張るわ。
神大受かるように」


「大毅、無理してへん？」


「無理なんかしてへん。
ともと一緒におりたいから」


そう言うたら、ともの瞳が、不安そうに揺れた。


「とも？
どうしたん？
俺が大学行くん、嫌？」


「ううん。
一緒に神戸の大学行けたら、嬉しいよ。
けど。
神大なんて賢いとこ、俺は無理やし。
そんなエリートなったら、
大毅、俺のこと、忘れてまうやろなって」


「そんなわけないやん」


「大学入ったら、
新しい出会いもいっぱいあるしさ。
大毅は、俺から離れてまうと思う」


「とも・・・？」

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