シルエット

秘密の関係。１ ページ43

赤side


球技大会で、ともが怪我させられて。

ほんまに、村のヤツらの幼稚さにムカついたし、
失望した。


春に赴任して来た養護教諭の桐山先生が、
職員室行って二人きりなれたから、

最初は話したり、

その、

いちゃついたり、
キスとかしててんけどな。


そのうち、とも、眠ってもうた。

あまりの寝顔のかわゆさに、悶絶。


天使って実在しとってんな。


マジでそんなこと、考えてまう。


もちもちのほっぺた、
ちょんちょんつついて、
いたずらしたら、


「ふにゅ、むにゃ」

　
とか言うねんで。


さっき、高校生の間は、
清い交際しようって、
自分から宣言したくせに、

あっさり、理性ぶっ壊れそうや。


「ほんま、可愛ええねんから」


熟睡してる、ともに、
もう一回、キスした時。

ガタンって、廊下で音がして。

めっちゃ焦る。


桐山先生が戻って来たんかな？


恐る恐る、窓を開けたら、

俺らの鞄持った康二がそこに立ってた。


窓閉まってたし、
白いカーテン閉めてるし、
見られてたわけないのに、

なんか焦る。


「球技大会、終わってんや」


「おお。
鞄、持って来たわ。
しげ、神山、大丈夫やった？」


康二、めっちゃ言いにくそうに切り出す。


「ありがとう。
神ちゃんは、今、寝てる。
疲れたんやと思う」


「ごめんな。
あいつら、止められへんかって」


「康二が謝ることちゃうやん」


「あいつら、しげを取られた気がして、
拗ねとるんやと思うで」


「アホや」


「ほんまやな。
なあ、しげ。
神山とおると、
そんなおもろいん？」


「え、あ、まあな」


おもろいっていうか、
嬉しい、やねんけどな。


「俺も、ほんまは、あいつと喋ってみたいねん」


康二の言葉にめっちゃびっくりした。


「いつでも話しかけたらええやん」


ほんまは嫌やな。

俺だけのともやのに。


けど、とも、
俺しか話せるヤツおらんの、寂しいやろうし。
　
康二が仲良くしてくれるんは、
ありがたい。


「せやんな。
また勇気出して話しかけてみる。
しげ、そういやな、
真琴が変なこと言うてやったで」


「変なことって？」


「シゲと転校生は、おかしい関係やて。
海でキスしてたとか。
見間違いに決まってるやん、
俺は言うてんけどさ」

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