シルエット

２ ページ38

体育館の２階から、
大毅がバスケやってるんを、
こっそり見てる。


大毅がまたゴール決めた！

俺の彼氏、めちゃめちゃ、かっこええ。


大毅の大活躍で、
２年生チームが圧勝。

俺、一瞬、溶けてたかも。


はっとしたら、
成瀬が、
スポーツドリンクとタオルを、
大毅に渡してんのが見えた。


大毅、ちょっと困った顔になったけど、
受け取ってん。


なんとなく、口の動きで、


「真琴、さんきゅ、」


そう言うたんが、分かって。


胸がチクンと痛む。


俺が渡せば良かったって、後悔。


それって、普通の男友達でもする事？

変に思われへんかな。


時々、分からへんなってまうねん。


付き合うてるって言っても、

前とそんなに関係は変わらへん。


みんなの前では苗字で呼び合ってるし。


でも、時々な、


海や葡萄畑で、こっそり、

大毅からキスしてくれるねん。


とも、好きやで。って、囁いて。


誰にも見つからへんように、

俺たちだけの秘密。


重ねる度に、

めっちゃ幸せな気持ちになる。


いつも底抜けに明るい大毅が、

キスする直前に見せる、

切なくて、熱っぽい瞳。


成瀬は、そんな大毅、知らんやろ？


そやけど、

子供の頃からの大毅を知ってんのは、
成瀬の方。


それに、成瀬は女の子や。


ちゃんとおしゃれして垢抜けたら、
結構可愛い気もする。


半袖の体操着の背中には、
くっきりブラの線が写ってる。


大毅の目には入らへんのかな。

成瀬の方が良くならへんか、
不安でたまらん。
　



優越感と嫉妬心で、ぐちゃぐちゃんまんま。

バレーボールのコートに立った。


大毅が俺を見てるから、
余計に緊張する。

球技以外なら、大体なんでも得意やのにな。


いうか、島のヤツらって、みんなバカ力。

加減知らへん。
　

相手は３年やねんけど、

なんでか３年にまで嫌われてるせいで、

俺ばっかり狙い撃ち。


体育館には先生なんか、おらんしな。


「オトコオンナ、弱っ」


「金髪、球技苦手やん。
狙え狙え」


誰がオトコオンナじゃっ。

アホらして、言い返す気にもならへん。


味方チームも勝ち負けより、
俺に嫌がらせしたいらしくて、
全然味方してくれへんし。

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